待チ人ハ来ズ 【 luz 】:☆ ページ11
一目惚れした。
私にとっては初めての恋で、彼しか見えなくなるほど余裕がなくなっていた。
駆け引きなんて出来やしない私は、今日もまたストレートに彼__luzくん__を夏祭りに誘った。
luzくんとは、ある程度の知り合いにはなっていて、向こうは私のことちゃんと名前で呼んでくれている。
綺麗な顔をしているせいでチャラく見えるところもあるらしいけど、中身は本当に清い人なのだ。ちょっと天然だけど。
「 んー?夏祭り?ええよ!こっち来てから僕行ったことなかったから 」
そんな彼はにこにこと顔を輝かせながらOKをくれた。
嬉しくてどうすればいいかわからなくなって、とりあえず「 ありがとう!」と言うと逃げるようにクラスに戻った。
嬉しくて机に伏せてにやけた顔を必死に抑える。にやにやしながら近づいてきた友人にからかわれながらも、にやけた顔は治らなかった。
そして今、その夏祭りの待ち合わせ五分後なのだが、彼は来ない。
まあ、元々遅刻魔ではあったし、五分十分くらいは予想の上だ。ドキドキしながら待つのも悪くないから。
そうやって自分を誤魔化していたのだが、彼は来なかった。
待ち合わせの6時から2時間、その場所から動かなかったけれど。
約束を無視する人だったのかと絶望で目の前が暗くなる。
ああ、きっと他の可愛い子に誘われたんだ。だからそっちに行っちゃったんだ。
夏祭りが終わりを迎えだしたので、とぼとぼと一人家に帰る。
お母さんの心配する顔も無視して、部屋にこもってベッドに沈み込み、布団にくるまり泣きじゃくった。
「 ちょっとA!! 」
ドアを忙しなく開けられて叫ぶお母さん。渋々布団の中から顔を出すと、お母さんはとても怖い顔をしていた。
「 落ち着いてこれを読みなさい 」
久しぶりに見た怖い顔に、思わず手渡されたタブレットの画面を眺める。
「 ...え? 」
そのページは地域ニュース版だったらしく、記事には、彼、luzくんが、事故に巻き込まれて、亡くなったことが、書かれていた。
「 なんで、嘘、なんで... 」
_男子高校生は浴衣を着て地域の夏祭りに行く途中に、この事故に巻き込まれた様子です
_警察は、○○容疑者を過失運転の疑いで捜査を続けています。
「 なんだ、そういうことだったんだ... 」
意識が少しずつ薄くなっていくのがわかる。
お母さんの呼ぶ声だって聞こえない。
その記事が映し出す場所には、綺麗なシロツメクサが咲いていた。
《 シロツメクサ 》
「 約束 」
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わっふるくりーむ(プロフ) - Maiさん» ありがとうございます!報われない前提で書いているので報われることはないかと...(苦笑)感想ありがとうございます!更新頑張りますね! (2017年10月16日 19時) (レス) id: f1fb733784 (このIDを非表示/違反報告)
Mai - 零生さんの作品を読んで、作品一覧で見て読みました。[空の知らぬ雨【まふまふ】]の夢主ちゃん報われて欲しいです(泣) 更新お待ちしております! (2017年10月15日 15時) (レス) id: c608e0f4fb (このIDを非表示/違反報告)
わっふるくりーむ(プロフ) - きょりだぬきさん» なんかこうってどういうことですか ww これ以上はチャットになってしまうのでレス控えさせていただきますね! (2017年9月27日 9時) (レス) id: f1fb733784 (このIDを非表示/違反報告)
零生(プロフ) - きょりだぬきさん» そんなに!?!!? すごいな嬉しすぎるwww (2017年9月26日 21時) (レス) id: c45c7990b9 (このIDを非表示/違反報告)
きょりだぬき - 零生さん» 零生様のグッズがあったら全部集めて痛バつくりますよ(は) (2017年9月26日 19時) (レス) id: b2b228fcf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わっふるくりーむ&零生 x他1人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2017年9月24日 19時