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｢早くそこから離れてｯ｣

｢……は?｣

｢良いから!!｣

無理矢理､髙橋にフェンスから引き離される｡

その反動で､

屋上のコンクリートの地面に髙橋と共に倒れ込んだ｡

｢いった･･･｣

思わず髙橋を睨むと｡

｢は､なんであんた泣いて･･･｣

｢泣いてなんか……ｯ｣

髙橋は唇を噛みながら､泣いていた｡

｢･･･あんたに何があったかは聞かない｡

だけど話したいと思ったら､聴くから｣

私は立ち上がって制服の汚れを払い､

髙橋に言った｡

優しさでも同情でもない｡

ただ思った事を言ったまでだ｡

｢･･･待って｣

屋上から校舎へ向かうドアに手をかけた時､

髙橋に呼び止められた｡

｢･･･話したい｣

そう私を見つめる髙橋の目は､真剣だった｡

私は頷き､身体を起こした髙橋の前に座った｡

｢Aは気付いてるよね?

僕が必要以上に人間を近付けない事｣

｢あ‐､うん｡

気付いてるというか､

人気あるのに特定の人と一緒に居ないな､

とは思ってた｣

髙橋は私の答えを聞くと､切なそうに笑った｡

髙橋ってこんな風に笑うんだ･･･って､

どこか冷静に見てしまう自分が居る｡

だっていつも髙橋は､

人を蔑む様にしか笑っていなかったから｡

｢･･･大事な奴を失ったんだ｡

俺に近付いた皆､不幸になる｡

…だからｯ !!｣

｢･･･誰も近付けないって?｣

苦しそうに､髙橋が息を吐いた｡

たったそれだけなのに､

髙橋の背負ってるものが垣間見えた様な気がする｡

｢じゃあ､生徒会の皆は?｣

ただ疑問だったのは､

誰も近付けさせない髙橋が

生徒会メンバーとは一緒に居る事｡

｢…紫耀が､どん底だった俺を助けてくれたんだ｡

『俺はもう充分不幸なった､

やからもうこれ以上堕ちへんで?

大丈夫やから平野の傍に居り‐や』

紫耀はそう言ってくれた｣

なるほど･･･､

平野はそうやって髙橋の心を掴んだのか｡

｢だから俺は･･･｡

紫耀の邪魔をする奴は排除する…ｯ｣

｢は?･･･え?｣

不意を突かれた時だった｡

フェンスの1部が脆くなっている､

髙橋はそこを狙ったのだろう｡

身体が堕ちていく感覚はスローモーションだった｡

｢ｯ…A?!｣

堕ちていく時､

地面に居るのが見えたのは

髙橋との話に出て来た平野だった｡

ねぇ髙橋､なんで…

なんでまた罪を…

私はそこで目を閉じた｡

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