" T r o u b l e "

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家に帰り､まだ荒い動きをしている心臓に手を当てた｡



うちの財閥の名前が出た事への驚きは､



隠せていたんだろうか｡



さっきの優太さんの話をもう一度思い出し､



改めて頭の中で考える｡



私はまだまだ弱い人間だ｡



永瀬と神宮寺の話もほんとはちゃんと､



受け止められていない｡




(( ｺﾝｺﾝ




｢…はい｣



ノックの音が鳴り､



思わず低い声で返事をしてしまった｡



｢失礼するね､Aちゃん｣



｢え､何で､家知って･･･｣



私は思わず身構えた｡




だって､玄樹くんには家なんか教えてない｡



玄樹くんはそんな私を見て､ふふと微笑んだ｡



｢ごめんね?

生徒会特権､私情で使って調べちゃった｣



｢駄目じゃん･･･｣



可愛い顔しても駄目だっつ‐の(



｢これだけは教えときたかったんだぁ｣



｢ん､何?? ｣



またふふっと微笑んだ玄樹くんは､



私の耳元に口を寄せる｡



｢廉と神宮寺の2人を攻略したつもりでいたら､

痛い目見るよ?

生徒会役員もそろそろ､本格的に動くから､ね｣



｢げん･･･き､くん?｣



｢悪いけど､こっちが素の俺｡

Aちゃんが見ていたのは､

あくまでも作った僕だよ♪｣



玄樹くんはそこまで言うと､



もう用無しとでも言う様に帰って行った｡



ゴクッと､生唾を呑み込む｡



少し･･･､いやかなり､寒気がした｡



昔､私と玄樹くんが出逢ったばかりの時は､



きっとまだ素を出してくれていた｡



さっきまではきっと､



昔の自分を演じてくれてたんだろうけど｡



ねぇ玄樹くん､玄樹くんも何があったの｡



握り拳を作りながら､私は頭の中で問い掛けた｡



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