自由へ道連れ【Fujii.R HBD】 (ページ5)

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いページ5

「あ」
藤井くんが鞄に手を入れてゴソゴソしてたかと思うと、急に声を上げた。

「どうしたの？」

と聞くと、眉を下げて
「古典、一式忘れた…」
と。

だろうな。
君はそういう人だと思っていたよ…

妙に納得しながら机をくっつける。

「え、何してるん？」
「忘れたんでしょ？見せてあげるから、藤井くんも机くっつけて」

と言うと、何故かものすごく驚いた顔をしながら机をくっつけ始めた。

「何？」
「…いや、こういうもんなん？」
「何が？」
「教科書忘れた時って」
「…まぁ他のクラスに友達がいて貸してくれるんなら別だけど…って、藤井くん初めて忘れ物したの？」
「んや、そんなことないんやけど」

…どういうことだろう。
藤井くんの言葉の続きを待っていると、

「今まで寝てたから忘れもんしてても気づかかってん」

と返ってきて力が抜けた。

授業中、板書をしていると、藤井くんが当てられた。

「じゃあ、ここ。藤井」
「…」

ん？
嫌な予感がして横を見る。

…やっぱり寝てるし…

「おーい、藤井！起きろー」
「…んー…」

どんだけ起きないのこの人…

「藤井くん、ちょっと！先生に当てられてる」
軽く肩を叩く。

「んぇ？嘘、どこ？」

何故かあれだけ先生に声をかけられても起きなかったのに、私が一回起こしただけで起きた。

寝起きがいいんだか悪いんだか。