た ページ4
「ロケットが落ちてきたらどうする？」
と聞いてきた翌日のことだった。
テレビでニュースを見ていたら、
「速報です。ただいま太平洋沖に、恐らく宇宙からと思われる未確認飛行物体が落下したとのニュースが入ってきました」
と聞こえてきて、思わず歯ブラシを落とした。
「…え？」
まぁこの時はもちろん偶然だと思ったわけで。
その後普通に学校に行くと、まぁこの話題でもちきりだった。
案の定隣の藤井くんが
「なぁ！ホンマに落ちてきたな！」
と何故か目を輝かせて言ってきた。
「…なんでそんなに楽しそうなの」
「だって俺らが話してた次の日に起きた事やで！めちゃくちゃワクワクするよな！もしかして俺、なんかの能力もってる？」
「バカじゃないの」
と話していると、教室の外から
「藤井くーん！」
と女の子の呼ぶ声が聞こえた。
「…なんやねん」
と面倒臭そうに立ち上がって廊下に向かう藤井くん。
何やら受け取っているようだ。
しばらくして戻って来たら、その手には手紙。
「もしかして、ラブレター？」
「たぶんな」
と、心底だるそうな声で答えた。
「よくある事なの？」
「んー、まぁ？俺イケメンやし？」
とドヤ顔で言ってきた。
「自分で言うことじゃないでしょ」
「これどうしよか」
聞いてない。
「え、読まないの？」
「渡してきたあの子も誰かに渡されるように頼まれたらしいし、その子のこと俺知らんし。今時ラブレターて」
と笑った。
こんなの慣れっこなんだろう。
読まずに「これどうしよか」と重岡くんとケラケラ笑っているのを見て、ラブレターを書いた女の子が可哀想になった。
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作者名：とらい | 作成日時：2019年8月1日 21時
