自由へ道連れ【Fujii.R HBD】 (ページ16)

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「あれ？藤井くんと重岡とAさんじゃん！何してんの3人で～！」

と話しかけてくる、クラスの男子。正直名前は覚えてない。

「えっ、Aさん、どっちかと付き合ってんの！？もしくは…二股～！？」
と、大声で騒ぎ立てる。
関係ない周りの人もこちらを見てヒソヒソと噂話をしている。
恥ずかしいし、下品。そう思ってしまい、下を向いたまま喋れずにいたら、

「Aが二股なんかする訳ないやろ。俺らが遊びたい言って誘ったんだからほっといてくれへん？」
と、藤井くんの怒りを含んだ声が聞こえた。

そっと顔を上げてみると、怒りが目に見えてわかる表情の藤井くん、呆れた顔でクラスメイトを見ている重岡くん、藤井くんの圧に圧されて呆気に取られたクラスメイトの人。

「……なんだよ～！そんなに怒んなって！」
と、クラスメイトが冗談めかして言う。

「そら二股とか言われたら怒るやろ。てかそれだけなら帰ってや」
と、クラスメイトを追い払う藤井くん。

こちらをジロジロと見ながら、クラスの人達はどこかへ行った。

思わずその場にしゃがみこむ。

「……びっくりした…」
「ほんまあいつらデリカシーないわ。ごめんなビックリさせたな」
と重岡くんがそっと立たせてくれる。

「ありがとう…あっ、もうすぐ花火始まる」

藤井くんはほんまや、と言って私の手を取ると、早足で歩き出した。

一番よく花火が見える河川敷は、人でごった返していた。私は2人に挟まれるようにして立っていた。

大きな花火が上がる音がするタイミングで、藤井くんが何か言ったが、聞こえなかった。