自 ページ15
そう2人に声をかけると、同時に振り返った。
「それ、俺が選んだ浴衣…」
「うん、すごく悩んだんだけど、藤井くんの浴衣が好みかなって思って」
結局私は、藤井くんが選んでくれた浴衣を着ることにした。
重岡くんが選んでくれた赤い浴衣も素敵だったけど、私にあの明るい赤が似合うのか自信がなかった。
「おん、すごい似合っとるで」
「ありがとう！」
「えぇー！俺の浴衣ちゃうんか！？なんで！？」
重岡くんは何やら悔しそうにしている。
「ごめんね、重岡くん。とりあえず花火大会始まるまでは、出店で色々見てようよ」
「おん、そやな。」
と言って、藤井くんはさりげなく私の手を繋ごうとする。
重岡くんがそこに割って入った。
「なにしてんねん！」と言いながら。
屋台では、夏祭りさながらいろんな食べものが売られていた。
私がりんご飴かチョコバナナか迷っていたら、2人が一斉にチョコバナナを勧めてきたり、
私が買ったチョコバナナを食べているところを何やらニヤニヤしながら眺めているのは少し気持ち悪かったけど、何やかんやで楽しい時間だ。
「あ、金魚すくい。」
「ほんまや、俺取ったる」
と、藤井くん。
「お？じゃあ対決にしよか！流星！」
と重岡くんが言い、2人で金魚すくいの対決を始めた。
結果は、藤井くんの圧勝。
重岡くんは、大きい金魚を狙おうとして一発でポイが割れてしまい、一匹も取れていなかった。
「ほい」
と、金魚が入った袋を渡される。
「えっ？」
「プレゼント、と言っちゃなんだけど、良かったら飼ってやってくれへん？うち親が厳しくてペット飼えへんねん」
「いいの？わかった、じゃあうちで飼うから良かったら見に来て」
「おん、ありがとう。」
と話していたら、何やら遠くの方で騒がしい声が聞こえた。
そちらの方を見てみると、クラスメイトがゾロゾロとこっちに向かってきていた。
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作者名：とらい | 作成日時：2019年8月1日 21時
