色々な君と。 (ページ10)

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こくはく。 Shinichi.N ページ10

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A「慎一くん、今日も告白されてたね」

慎一「え？ああ……うん。見てたの？」

A「見てたっていうか、見ちゃった？
可愛くてモテる子だったのに振っちゃったんだ？」

『慎一先輩、好きです。』

『……ごめん』

頭の中に今日見たシーンが浮かんではあっと軽くため息を落とす。

慎一「喋ったことない子だし……
それに、恋愛は今は別に……」

A「勿体ないなあ」

慎一くんの部屋のベッドに勝手に寝転がって勉強する慎一くんの横顔を見た。
……やっぱり、かっこいいもんなあ

モテる、よね

今は別に恋愛は……なんて言われたら
好きなんて言えない。

慎一くんは幼馴染みの一個上の先輩で
先輩だけどずっと慎一くんって呼んでたから先輩呼びになれなくて。

初めて慎一先輩って呼んだ時は慎一くんにクスリと笑われた。

『慎一先輩って……(笑)
今まで通りでいいよ』

控えめに笑う慎一くんが好きだった。
Aって呼んでくれる声が好きだったの。

慎一「Aはおれにはやく彼女ができて欲しいわけ？」

A「へ？」

慎一「告白断る度に同じ事言われるから
可愛い子なのにとかいい子なのにとか」

A「あ、いや……そういう訳では」

慎一「なんでおれが彼女作んないか、分かってないでしょ」

慎一くんが椅子を回してベッドに寝転がるわたしの顔を見る。
え、なに、なに。じーっと見つめられて顔から炎が出そう。

A「だからそれは……恋愛に今興味が無いからで……」

慎一「あーほんと伝わりにくい奴だな。
鈍感にも程がある」

A「え？？なに？」

へ？と口を開けてポカーンという顔をすると慎一くんは笑ってわたしに軽くデコピンをする。

慎一「おれに彼女ができたらAとこうやって喋る回数は絶対減るから。
というか、彼女の方を優先だから必然的に会わなくなるかもな」

A「え、……あ、そっか……」

慎一くんと女の子が手を繋いで歩く姿を想像して
なんだかひとりで悲しい気分になった。

慎一「だからおれは今のままで充分。
まあ、問題は彼女じゃないから手出せないことくらいかな」

A「……ん？」

慎一「無防備すぎってこと」

わたしが顔を顰めると何故か慎一くんは少し顔を赤くしながらわたしにタオルケットを放る。

よく分かんないけどとりあえず嬉しかった。

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