Celebrate ... ?【紅】 ページ6
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「なんか照れるな、こういうの」
普段は質素なテーブルに豪華な食事がこれでもかと言うぐらいに並んでいる。
豪華に着飾った花鶏の店内はとても華やかに見える。
ドアの装飾には「Happy birthday!」と文字がカラフルに浮き出ている。
そして真司は少しうつむいて恥ずかしそうに頭をかいている。
つまり今日は、『祝いの日』と。
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結局酔いが回ったパーティの参加者が思い思いに騒いだ後、寝室に戻るなりなんなりしてしまった。
そうしてささいなお祭りはお開きとなった。
「ちょっと真司、大丈夫?」
「だいじょぶだいじょぶ」
"今日の主役"である真司もお酒に呑まれた1人だった。
青白い顔で椅子にもたれかかる真司に代わって、Aが1人で後片付けをしていた。
「……ごめんなA、色々やってもらって」
「謝んないでよ。悪いことしてるみたいじゃん」
既に日付が変わり外は真っ暗闇で、電球の明るさがやけに目立っていた。
お酒や食べ物のにおいも入り混じって、独特の雰囲気が花鶏を包む。
時計の針と食器と食器が重なる音だけが響き、ゆったりとした時間が流れている。
「いいな、こういうの」
「ん、どうしたの?急に」
真司は何かを眺めるかのような眼差しでAを見つめて、ぼそりと呟いた。
Aは働く動きを止めない。
「こんな奥さんがいてもいいな、って思ってさ」
ゆっくり姿勢を戻して座ったまま前傾姿勢になり、Aに向かって微笑む。
肩の力が抜けているようだった。
「……酔ってるでしょ」
「まあそうなんだけど、俺の本心だよ」
少し驚いた様子でAは真司の方を向いて、動かなくなった。
反応に困っているのか、数秒だけ目を逸らす。
真司はそれを確認してからひっそりと立ち上がり、Aの前に立つ。
さらに真司は手をとる。指輪を交換するかのような仕草で。
しっとりとしたAの皮膚が煌めいている。
「結婚とかもさ、祝われたいよな」
真司の視線はAを真っ直ぐ貫いている。
その視線は純粋で、素直で、綺麗だった。
そうして言葉の意味をくみ取ったAも、やっと落ち着いて真司を見つめ直した。
顔には笑みが混じっている。
2人の頭の中には、きっとウェディングベルが鳴っているだろう。
『祝いの日』の意味を、互いに考える夜だった――
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「Celebrate ... ?」 '17 10.20 (11.30 マーク追加)
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あめ。 - 言葉遣いがとても好きです!更新止まってますが楽しみにしてます。 (2018年3月25日 2時) (レス) id: f3914f5645 (このIDを非表示/違反報告)
。わふわふ←(プロフ) - カリンさん» ありがとうございます!頑張らせていただきます…!( ;A;) (2017年10月22日 20時) (レス) id: 86de2b45b0 (このIDを非表示/違反報告)
カリン - 私も龍騎大好きです!更新頑張ってください!! (2017年10月22日 15時) (レス) id: 97bd3a2bc5 (このIDを非表示/違反報告)
。わふわふ←(プロフ) - Sさん» ありがとうございます…!頑張らせていただきます( ;∀;) (2017年10月21日 17時) (レス) id: 86de2b45b0 (このIDを非表示/違反報告)
S - 龍騎好きだから嬉しいです!更新頑張ってくださいヽ(´∀`咲)ノ (2017年10月21日 16時) (レス) id: d45008529a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:。わふわふ← | 作成日時:2017年9月18日 20時