WESTの恋模様2

あなたには青が似合う2 ページ9

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恋人になってからというもの、こいつはとてつもなく優しくて大事にしてくれる存在で、今まで無理矢理な事しかされてなかった俺からすると凄くむず痒くて、それでいて幸せで、優しくされるとはこういう事なんだと、そう実感した

それを教えてくれたのは紛れもなく望で、感謝してもしきれない

愛を教えてくれたのも、優しさを教えてくれたのも、親友になってくれたのも、望が初めて

淳太くんに、照史くん、はまちゃんにしげにかみちゃん、みんな俺に優しくしてくれた。友達だと言ってくれた、そんな皆に俺の過去なんて言えなくて、自分がどれだけ汚くて、生きてる価値のない人間なんだと痛感した

きっと望なら、そんな事ない、流星は綺麗やなんて真顔でいいんやろう、そしたら俺は…なんて言うんやろう



そんな幸せな日はいつまでも続かなくて、ある日望と一人暮らししてる俺の家まで一緒に帰っていた時、俺は完全に油断してて、駅から歩いている時に前からあの施設の役員が歩いてきたのだ。

暗闇だったから最初はよく分からなかったけど、そいつは俺と隣にいる望を見たらにやぁと笑って、そのまま通り過ぎてしまった。

ばくんばくんと心臓は鳴っていて、気持ち悪さと、恐怖とで冷や汗をかきまくっていた

「どうしたん流星？大丈夫？顔色悪いで？」

心配そうに俺の顔を覗き込む望に、こんなきらきらしたやつ、こんな綺麗なやつと俺とじゃ釣り合わないんや、俺なんか、俺、が、いなければ…望は幸せなんやろうか…

「のぞむ…………おれ……ううん、なんもない」

言おうと、過去の事を親がいないことも、施設であったことも言おうと、そう思ったけど、ん？と笑う望を見て、…言えなくなってしまった


あぁ、俺はなんて汚いんやろう…





「なぁ、流星」

「どうしたん？」

「…いや、転校初日の事覚えとる？」

「覚えとるで」

役員とすれ違ったあの日から俺には決めてた事があった。
高校3年、俺にとっては最後の夏。

「俺、一目惚れやったんかな」

「俺に？」

「せやで」

ろまんちっくなことを言う望に、俺は笑う

純粋で綺麗な望

俺はこんなにも汚くて気持ち悪くて、お前の隣を歩けるほど綺麗じゃなくて、望と一緒におれた一年間、それはそれは幸せな時間で、サッカー部を引退した望が寂しそうにグラウンドを眺めている。
綺麗な横顔に少しだけ決心が鈍りそうになる


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