WESTの恋模様2

君が八月の泡沫の夢なんて2 ページ4

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そんな、8月の夢のような話

9月、学校が始まって、珍しくかみちゃんが遅刻をしてきた
というか、遅刻だと思っていた

彼は永遠に学校に来ることはなかった

通学途中で信号無視していたトラックに引かれて、即死だったらしい
俺が待ち合わせ場所で待っていても、来なかったので申し訳ないけど一言メールしてから学校へと向かった
そんな俺に告げられた事実はあまりにも残酷で、病院に行き動かない彼を見るまでは信じられなかった

せめて、綺麗なままで

思い出は綺麗なままで、君が8月の泡沫の夢だなんて、嘘だよ、消えていなくなるなんて聞いていない、








「しげー？どうしたん？」

「え？あ、あぁ、なんでもない」

「はは、変なやつ」

「しげってさ、なんで彼女作らへんの？事務の子達がしげ狙ってるらしいで聴いてこい言われてさ」

「あ、そうなんや、」

「なんだよお前ー！この会社の事務なんてみんな可愛くて美人で有名なのに、もっと嬉しいそうにしろや！」

あれから、10年が経った、あの時から俺の時は止まったままで、いまだにあの時一緒につけてたペアリングを首から下げている
かみちゃん以外を忘れられなくて、忘れたくなくて、彼女も作れなくて、今だに事故現場で週に1回花を届けることしか出来ない
就職してもそれは変わらなくて、かみちゃんはどこかで生まれ変わってるんかな？とか、笑ってるかな、とか、


…君が8月の泡沫の夢だとしても、俺にとっては一生なんやで、


なんて、一粒涙をこぼした




END

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