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誰も知らない場所へ ページ5

仙道「はい、到着〜。」

『……ほんとに誰もいない…。』



仙道「これで花火見えなかったら、どうしよ。苦笑」

『………それはそれで、思い出として。笑』










小さな手を握りながら、

ゆっくりと木で作られた階段を登ってきた










“いやらしい、仙道さんにピッタリですわ!”










キラキラと眩しい瞳と、

まあまあな声量でそう口にした彦一が



太鼓判を押すそこは、







少し開けた場所に




街灯が1本と、

背もたれも何もないベンチ







それだけが置かれた物静かなところだった。










浴衣姿でここまで付き合ってくれている彼女を

このままにさせるわけにはいかないので、










ここに来る前に買った、

焼きそばが入ったビニール袋







その中から焼きそばを取り出し、





少しでも面積が広くなるように

ほんの気持ち伸ばして





ベンチの上へと置いた










仙道「ほら、ここ座って?疲れたよね?」

『ぇ、あ…ありがとうございます。』










控えめに腰を下ろしたAちゃんの隣に

自身も並ぶように腰を下ろした。







Tシャツと浴衣が、

微かに触れる距離に心臓が跳ねる










花火が打ち上がるまでの静かな時間







自分の心臓の音が、

彼女に聞こえているかと思うと



気が気じゃなかった。










隣の彼女を盗み見ると、



足を揺らしながら夜空を見上げ

まだかまだかとその時を待っていた。










『………なんですか?』

仙道「ぇ、…あ、いや、別に…!///笑」










見つめ過ぎていたらしく、



唐突にこちらを見上げ

悪戯っぽく笑みを浮かべる彼女に驚き





慌てて空を見上げ誤魔化す。







…クスクスと可愛らしい声が聞こえて来るが

気にしない気にしない。










『、わぁ…。』

仙道「…おー始まったー。」










ドーン、と

大きな音とともに辺りが一瞬明るくなった







また暗くなっては

また大きな音とともに、



赤や青、緑といったさまざまな色で

カラフルに彩られていく。










ドン、と音が鳴るたびに

小さく肩を揺らすAちゃんを見て



大きな音が苦手なことに気付く。







それでもキラキラと、

花火を目に映しながら夜空を見上げる姿は





いつもの冷静な姿とは違い、

年相応のそれでつい頬が緩む。

花火の魔法にかかろうか。→←きみの心の真ん中に



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ウェーイ - この作品マジですごい!読んでて楽しいしちゃんと原作に沿っていて繋がっているのでめっちゃ面白いこの文才能力欲しいくらいです!次のお話も楽しみにしています!! (2023年1月14日 11時) (レス) id: 3ff1dcbf2a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:s_m_ | 作者ホームページ:http://www.instagram.com/___imahera_0902_  
作成日時:2022年12月25日 22時

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