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向かっていく先には摩天楼だらけ。

とあるマンションのきらびやかなエントランスが見え、シャンデリアが吊るされ大理石で出来た床を颯爽と歩く住民たちにあんぐりした。

中に高級レストランや有名なジュエリーショップが入っているビルなど、歓楽街の東側の地域は私の肌に合わない。

通称『セレブ街』と言われるこの辺りは、歓楽街で働く人間の中でも腕のある人間や稼いでいる人間、根っからのセレブが集い勿論治安は良い。

ただ、あまりに綺麗な世界過ぎて身が持たない。



「何処まで行くんですか?」

「あとちょい」

「それさっきから行ってますけど、全く到着する気配しませんよ?」

「セレブ街抜けたら直ぐだから」



軽快な会話をしようがいつまでも離れない手が熱くて、早く離したい。

離してほしい。

変な気分になる。

お陰で寒くは無いのでそこは、有り難いのだが。

歓楽街から20分ほど歩いていくと、街並みがかなり落ち着くものになった。

何も着飾らない2階建てのアパート。

『オキナ荘』と古びた文字が入った建物がどうやら彼の棲みからしい。

雨風で錆びたり一部修理されている剥き出しの階段を昇る彼について行き、部屋へと案内される。



「風呂場の向かいの部屋空いてるから、そこ使って。普段泊めたりするのに使ってたからベッドもあるし」

「……あ、はい。ありがとうございます」

「何ボーッとしてんの。熱?」

「いや……意外だなあって。貴方みたいな人ならセレブ街に住んでそうなものなのに」

「俺は、ちょっと暗くて脆いくらいが落ち着くんだよ」



私が着ていたコートを受け取りハンガーに引っ掻けながら、彼は受け答えをする。

部屋の中は綺麗だった。

そんな彼と同じ匂いがするその部屋は、恐ろしいほど生活感が無かった。

ただ家具が並んでいるだけ。

料理もあまりしないのか、台所は磨き立てのように綺麗でゴミ箱から弁当の空き殻がいくつも見えていた。

そうだ、と私はふと良い考えを思い付いた。



「あの、ここにタダで住まわせて貰うのはちょっと……代わりに、家事をしてもいいですか?」

「それが対価って?」

「はい」

「助かるからいーけど、俺の部屋には入らないで。それだけ約束な」



部屋のソファーに腰掛けながらため息混じりに交わされた契約に、私は力強く頷いた。



「早速だけど、ビール取ってきて」

「それくらいやってくだ、」

「家事には雑事も含まれますー」



彼は少年のようにイタズラっぽく笑った。

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miU(プロフ) - おかえりなさい!これからの更新楽しみにしています! (2018年4月25日 7時) (レス) id: b909dcbe9a (このIDを非表示/違反報告)
Ryrie**(プロフ) - みうさん» みうさん、ありがとうございます。これからさらに落ち着かなくなるような展開を考えていますので、是非最後までお付き合いくださいませ。 (2018年1月13日 22時) (レス) id: 3c581ac854 (このIDを非表示/違反報告)
みう - どきどきして心が落ち着きません!続きを楽しみにしています! (2018年1月7日 23時) (レス) id: b909dcbe9a (このIDを非表示/違反報告)
Ryrie**(プロフ) - カグラさん» カグラさん、ありがとうございます。まだまだ序盤ですがこれからも見てくだされば幸いです。 (2018年1月5日 22時) (レス) id: 3c581ac854 (このIDを非表示/違反報告)
カグラ(プロフ) - ずっと待ってました!この世界観が好きで更新するたび楽しく読ませてもらってます(о´∀`о)これからも待ってます! (2018年1月4日 14時) (レス) id: 55da401ce9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅島 | 作成日時:2017年9月20日 16時

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