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朝が来る度に体が重くなる。
私は《明日》が来ることを酷く嫌っているからだ。
どうして私には両親が居なくて、どうして血も繋がらぬ若作りモンスターに飼われているのかと自分の人生が恨めしくなるからだ。
私はずっと、化け物を本当の親だと思っていた。
血が繋がっていない事に気がついたのは、数年前。
イベント事に目も暮れずに勉強していた中学3年の冬頃だった。
仕事で夜遅くなると言う義母からの連絡を聞き、義母の娘である早苗(さなえ)と2人で家に居た。
基本的に義父は忙しいので家になかなか帰ってこない。
義母とその娘との3人の生活の中、料理が下手な義母の代わりにいつも台所に立っているので夕飯を作るのはなんて事はない。
ただ、私は義母の娘らしく性悪な早苗が苦手で2人で留守番をするのは苦手だった。
私の前と父の前では態度が違うし、何より──私の初めての彼を色仕掛けで簡単に奪った女だ。
義母も年齢の割に若く見え、大企業で重要な役職をしている義父のこともあの手この手で捕まえて玉の輿になった化け物だ。
義父に内緒で、仕事をしていると言い訳して他の男と熱く纒わり付くほど欲の塊である義母に、娘は見ない振りしつつ見事にそれを受け継ぎ、義父は何も知らない。
その異常さに1度問いかけたことがある。
『お母さん、罪悪感無いの』
『罪悪感?』
『お父さんが居るのに……その、不倫とか』
義母はドレッサーの鏡の前で魔女のように目を広げてアイラインを引いていく。
答えてくれないので無視をされたのだろうと諦め、立ち去ろうとした時に真っ赤な唇が動いた。
『無いわよ』
『……え』
『男の人からの視線ほど濡れるものは無いし、男の人からの愛情に勝る幸せは何処にも無いわよ。Aちゃん、貴女もいつかきっと目覚めるわ。だって私の娘だもの』
そう語った義母の恍惚な表情に悪寒が走ったのを今でも鮮明に覚えている。
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miU(プロフ) - おかえりなさい!これからの更新楽しみにしています! (2018年4月25日 7時) (レス) id: b909dcbe9a (このIDを非表示/違反報告)
Ryrie**(プロフ) - みうさん» みうさん、ありがとうございます。これからさらに落ち着かなくなるような展開を考えていますので、是非最後までお付き合いくださいませ。 (2018年1月13日 22時) (レス) id: 3c581ac854 (このIDを非表示/違反報告)
みう - どきどきして心が落ち着きません!続きを楽しみにしています! (2018年1月7日 23時) (レス) id: b909dcbe9a (このIDを非表示/違反報告)
Ryrie**(プロフ) - カグラさん» カグラさん、ありがとうございます。まだまだ序盤ですがこれからも見てくだされば幸いです。 (2018年1月5日 22時) (レス) id: 3c581ac854 (このIDを非表示/違反報告)
カグラ(プロフ) - ずっと待ってました!この世界観が好きで更新するたび楽しく読ませてもらってます(о´∀`о)これからも待ってます! (2018年1月4日 14時) (レス) id: 55da401ce9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅島 | 作成日時:2017年9月20日 16時