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急ぎ足でフードコートに戻ると、私が座っていた周辺をうろうろする見慣れた人を見つけた。

不安一色の表情を浮かべる顔には、何処か必死ささえ伺える。

私は慌てて彼の元へと駆け込み、名前を呼んだ。

「フウマさん!ごめんなさい!」

私の声に弾かれるように振り返った彼は、やっと息をするのを許されたような柔らかい表情をした。

それから、近寄ってきた私の頭に手を置き、わしゃわしゃ撫でてきた。

その時に細められた瞳が優しくて、今度は私が息の仕方を忘れてしまいそうだった。

「ったく、心配させんなよな」

「ごめんなさい……でも、連絡手段とかないし」

申し訳なく呟いた弱々しい声に、フウマさんはああ、とため息混じりに漏らして目にかかった前髪をはらった。

「それは今度。連絡先また教えるわ」

「はい、ありがとうございます」

「……それと、はい。これ」

フウマさんはずっと背に隠していた左手を出すと、その手が持っていた袋を手渡した。

青いギンガムチェックの袋には、見覚えがあった。

先ほどの雑貨屋の、個包装の袋がそうだったのだ。

「これ……」

「たまたま通った雑貨屋で買ったんだよ。見てみ?」

フウマさんに促され、袋の口のテープを切って中身を取り出すと、出てきたのは桃色のクマのキーホルダーだった。

それはまさに、私が買ったクマと同じシリーズのものである。

私は慌てて、彼の目の前に袋を取り出した。

「あ、あのっ!私も……」

「……その袋」

「私も買ったんです、フウマさんにそっくりな、クマ……」

「ハハッ、まさかのただ被り?」

フウマさんはケラケラ笑いながら、私が差し出した袋を受け取って封を切った。

すると現れたのは、どこかふてぶてしい紫色のクマ。

それを見るなり目の前の彼が吹き出して、くしゃくしゃの顔で笑いだした。

「何だよ、このブッサイクなクマ!」

「……一応、一応ね?フウマさんに似てるなぁって思って……」

「はあ?こんなクマと一緒にすんなよ」

「似てるじゃないですかあ!ほら、このタレ目具合とか」

「百歩譲ってそこだけだよ似てるの!ふんぞり返ってるしこいつ」

フウマさんは暫く紫のクマに文句を浴びせていたが、ふと何かを思い付いたようで徐に服のポケットに手を入れた。

それから直ぐに抜き出した手には、銀色に光る鍵が握られていた。

その鍵は、紋様や形容から彼の部屋のスペアキーであることが分かった。

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miU(プロフ) - おかえりなさい!これからの更新楽しみにしています! (2018年4月25日 7時) (レス) id: b909dcbe9a (このIDを非表示/違反報告)
Ryrie**(プロフ) - みうさん» みうさん、ありがとうございます。これからさらに落ち着かなくなるような展開を考えていますので、是非最後までお付き合いくださいませ。 (2018年1月13日 22時) (レス) id: 3c581ac854 (このIDを非表示/違反報告)
みう - どきどきして心が落ち着きません!続きを楽しみにしています! (2018年1月7日 23時) (レス) id: b909dcbe9a (このIDを非表示/違反報告)
Ryrie**(プロフ) - カグラさん» カグラさん、ありがとうございます。まだまだ序盤ですがこれからも見てくだされば幸いです。 (2018年1月5日 22時) (レス) id: 3c581ac854 (このIDを非表示/違反報告)
カグラ(プロフ) - ずっと待ってました!この世界観が好きで更新するたび楽しく読ませてもらってます(о´∀`о)これからも待ってます! (2018年1月4日 14時) (レス) id: 55da401ce9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅島 | 作成日時:2017年9月20日 16時

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