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「……そう」
「そんな悲しい顔しないでよー、ね?そうだ、お姉ちゃんにもプレゼント買ってくるから。高校受験頑張ってね」
「聡ちゃんにも、頑張れって言っておいて」
「……うん、任せて!」
最後に絞り出すような返事をしたのは、まだ私が聡ちゃんに未練を残しているのが気に食わなかったからだろう。
早苗は私の幸せを嫌う。理由は分からない。
ただただ私は、早苗に搾取されていく。
内心苛立っている癖に砂糖菓子でコーティングされたような甘ったるい笑顔を残し、早苗は先に風呂へと向かっていった。
それを眼球だけ動かして見送り、浴室に入ったのを確認して一息吐いた。
やっと呼吸をし心臓が動き、脈を打って生きていることを実感した。
それから我に返ったように調理を再開した。
私はまな板の上に皮を剥いた玉ねぎを置いて微塵切りにしていく。
今日はお互いに大好きなハンバーグを作る予定だ。
細かく切った野菜を混ぜて健康面にも気を遣う。
こんなに姉らしく頑張っているのに、早苗は何が不安で、何が嫌で私に爪を立てるのだろう。
「……やっぱ玉ねぎって染みるなあ」
一旦包丁を起き、玉ねぎのせいで生まれた涙を拭う。
しかしそれは止まらず溢れては頬を伝っていく。
それが玉ねぎの作用だけではないことは分かっていた。
ただ、強がれる言い訳が欲しかったのだ。
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miU(プロフ) - おかえりなさい!これからの更新楽しみにしています! (2018年4月25日 7時) (レス) id: b909dcbe9a (このIDを非表示/違反報告)
Ryrie**(プロフ) - みうさん» みうさん、ありがとうございます。これからさらに落ち着かなくなるような展開を考えていますので、是非最後までお付き合いくださいませ。 (2018年1月13日 22時) (レス) id: 3c581ac854 (このIDを非表示/違反報告)
みう - どきどきして心が落ち着きません!続きを楽しみにしています! (2018年1月7日 23時) (レス) id: b909dcbe9a (このIDを非表示/違反報告)
Ryrie**(プロフ) - カグラさん» カグラさん、ありがとうございます。まだまだ序盤ですがこれからも見てくだされば幸いです。 (2018年1月5日 22時) (レス) id: 3c581ac854 (このIDを非表示/違反報告)
カグラ(プロフ) - ずっと待ってました!この世界観が好きで更新するたび楽しく読ませてもらってます(о´∀`о)これからも待ってます! (2018年1月4日 14時) (レス) id: 55da401ce9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅島 | 作成日時:2017年9月20日 16時