伝えなければいけないこと ページ12
「準備室まだ開かないのかな。」
愛華はパソコンで美術室の様子を見ているようだ。
美術室では、男子たちが力を合わせて準備室のドアを破ろうとしているらしい。
「ドアに電流が通ってる上に鍵も掛かってるから、簡単には開かないよ。」
逢沢も、焦っているんだろう。
もし準備室の扉が破られれば、この事件は簡単に終わりを迎えてしまうかもしれない。
先生が眠っている、間に。
「ねえA、このパソコン使って開けられない？」
『ごめん。分かんないや。』
愛華の問いに対して、私は苦笑いを浮かべながら答えた。
演技は、少しだけ得意だ。
その時、パソコンの中から歓声が聞こえた。
どうやら華によってドアが少しだけ開いたらしい。
光多達が盛り上がってるのを尻目に、私は先生の胸に伏せるようにして顔を押し付ける。
先生、先生。私はどうすればいいですか？
馬鹿な私は、あなたが居ないとどうすれば良いのか分かりません。
「リモコン貸して。下手に触ると爆発するよ。」
...逢沢は、頭が良い。
自分が何をするのが最善なのかをちゃんとわかってる。
目を閉じれば、聴覚が敏感になった。
後ろで隼人と唯月がキシについて話しているのも、美術室の方でドアを破ろうとしているのも、全部聞こえた。
「なあA！お前ももうすぐ出れるぞ！！
アイツになんて言われたのかはわかんねえけど、脅されてたんだろ！？」
光多が、私を元気付けるように肩に手を置き話しかけてきた。
私は顔を上げ、光多の眼を見た。
心配している様な、そんな眼だった。
光多も、私の先生に対する態度から脅されてなんかいないとわかっているはずだ。
けどそれでも、私が自分と同じようにここから出たがっていると信じたかったんだろう。
この眼に、私は嘘をついてはいけない。
『私は、もし扉が開いても出たいとは思わないし...皆にも出てほしくないと思ってるよ。』
しっかりと、光多の眼を見て伝える。
「な、なんでだよ...」
『理由はまだ言えない。けど、信じてほしい。先生は...悪い人じゃない。』
愛華や沙良が、後ろで「なんで...」と言ってるのが聞こえる。
「なんでだよ！！お前まさか...コイツのこと好きなのかよ。」
隼人が光多を退けて私の肩を掴んできた。
隼人の必死な目線が苦しい。
けど、伝えなきゃいけない。
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真弥(プロフ) - ついつい作品の世界に入っちゃうくらい文章力が凄くて驚きです…！！とっても面白いです！更新頑張ってください！！楽しみにしております！ (2021年7月20日 20時) (
レス) id: 7cac5604e8 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎 - 更新待ってます！ (2020年5月30日 13時) (レス) id: 874e279780 (このIDを非表示/違反報告)
莉子 - 更新楽しみにしてるので、頑張ってくださいね！ずっと待ってます！ (2020年2月16日 22時) (レス) id: 5f56a1975b (このIDを非表示/違反報告)
柊一颯LOVE - ゆあさん» 私はゆあさんの感想を見ましたよ私はゆあさんの感想を見て良かったです私は柊一颯が大好きです (2020年1月6日 13時) (携帯から) (レス) id: 0760400581 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ - 更新まってます！！ (2020年1月5日 19時) (レス) id: 5386a12f84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：、りょうやん。
| 作成日時：2019年8月3日 3時
