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唯月 ページ15

どれくらい先生の顔を眺めていただろうか。



さくらは先生を私に任せて、壁に寄りかかって座っていた。



「一人になれる場所もねえのかよ。」



後ろから足音が聞こえて振り向いてみると、そこに居たのは美術室に居たはずの唯月だった。



美術室で何があったのか。逢沢は無事だろうか。



色々聞きたいことはあったが、この数日間で随分とみんなとは気まずくなってしまった。



「...ぶっきー、長くないらしいよ。病気だって。もうすぐ死ぬみたい。...A、知ってた?」



『うん。』



それしか、答えられなかった。



そんな私に、唯月は話題を探すように次の言葉を紡ごうとしている。



なんだか、気を使わせちゃって申し訳ないな。



「馬鹿だよね、病院でおとなしくしてればもう少し長生きできたのに。
澪奈の死の真相を暴くとか言ってるけどやってること犯罪じゃん?
犯罪者が偉そうに...」



『...なんでわかんないの?
そこまでして私たちに教えたいことがあったってことじゃん。』



「A、ほんとにどうしちゃったの?
そいつの味方ばっかしてさ。ウチらのことはどうでもいいってっわけ?」



わかってる。何もわかってないこの状況下で先生は明らかに悪者だ。



けど、信じてた。この4日間の授業を通じて何か変わってくれてるんじゃないかって。



『皆は大切な友達だよ。
けど、先生がやろうとしてることをわかってくれないなら...もういいよ。』



「...なにそれ。」



「私は、救われたよ。」



重い空気を取り払うように、さくらが言った。



「先生に。澪奈があんなことになって、私は生きた心地がしなくて。
ずっと時が止まったままだった。
もし先生が澪奈のことに触れてくれなかったら、一生引きずったままだったと思う。
ずっと澪奈に対して...」
「澪奈澪奈澪奈!!」



さくらの言葉を、唯月が遮る。



「なんで皆アイツに拘るの。
私はあの女が嫌いだった。
やりたいことに真っすぐで、ブレずに生きてて。目障りだった。」



「...諏訪さんもブレてないように見えるけど。
世界のファッションショーに出るようなモデルになるって。
...ごめん、前に喋ってるの聞こえちゃって。」




思い出がよみがえる。



ーー『唯月はさ、何になんの?』


ーー「私?私はねー...」



戻れるんだろうか。



この生活が終わったら、また友達に。

目覚めた先生→←開いてしまった扉



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真弥(プロフ) - ついつい作品の世界に入っちゃうくらい文章力が凄くて驚きです…!!とっても面白いです!更新頑張ってください!!楽しみにしております! (2021年7月20日 20時) (レス) id: 7cac5604e8 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎 - 更新待ってます! (2020年5月30日 13時) (レス) id: 874e279780 (このIDを非表示/違反報告)
莉子 - 更新楽しみにしてるので、頑張ってくださいね!ずっと待ってます! (2020年2月16日 22時) (レス) id: 5f56a1975b (このIDを非表示/違反報告)
柊一颯LOVE - ゆあさん» 私はゆあさんの感想を見ましたよ私はゆあさんの感想を見て良かったです私は柊一颯が大好きです (2020年1月6日 13時) (携帯から) (レス) id: 0760400581 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ - 更新まってます!! (2020年1月5日 19時) (レス) id: 5386a12f84 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:、りょうやん。 | 作成日時:2019年8月3日 3時

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