26話 ページ29
「イオリ様〜!」
スタスタ歩く私の後をキハトが早歩きで
ついてくる
「リリ様達と一緒の宿に泊まれば良いじゃない
ですか?何故別れたんです〜?」
「何となくです」
「あ、もしかして‥‥
そんなに俺と2人きりが良かっ」
ギロッ
私はキハトを睨み付ける。
そういう浮わついた理由では無いのです。
「分かりましたってば。
あのイオリ様に似ている緑髪の女と何か関係
あるんすよね。もしかして、シオンって
いう人ですか?」
バッ
私は勢い良く振り向く。
なぜ、何も話していないのにキハトが分かるの!?
「図星、ですか?」
「っ!?」
何だかキハトには全て見透かされてるようで
少し寒気がする。
「すいません。俺は昔から勘が良すぎてて
細かなことから推測される事は
だいたい当たるんですよ」
そう話すキハトは悲しそうに笑う。
キハトはその勘のせいで
苦労をしてきたのでしょうか?
「それは、頼りになりますね。
キハトの勘」
「そうっすかね‥?」
「私は‥‥‥!?」
私が言いかけた時
不意に聞こえてくる歌声に耳をすませた。
忘れもしない思い出の曲
大好きだった歌
それに、歌ってるあの声は‥‥!?
一体、どこで‥‥!?
目をこらして辺りをみると
ぐにゃり
不意に視界がおかしくなった。
目眩‥‥?
いや、違う。目眩じゃない。
ある酒場を集中して見ると
その建物の奥の光景まで目に浮かぶ
そこでは
中心にある舞台で踊るヨナ様と
楽しそうに歌う姉様の姿が‥。
これが、青龍の能力の1つの千里眼‥!!
やっぱり、聞いてたとおり
四龍の能力の半分が使えるって本当なんですね!
「イオリ様?
どうしたんですか?」
キハトが私を覗き込んでくる。
バッ
私は考えるより先に顔を反らして
キハトを視界に入れないようにした。
青龍の能力は使い方にとっては
命までも奪ってしまうらしいです。
「イオリ様‥‥‥?」
キハトに能力のことを知られる訳にはいけない
「何でもないです
行きましょう。キハト」
「あ、はい」
私は酒場の方をチラリと見たが
それ以降は
2度と振り返らないようにして
先を急いだ。
41人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:暁風の夢 | 作成日時:2015年12月3日 22時