緑の風を探して (ページ28)

今日:23 hit、昨日:8 hit、合計:56,813 hit

25話ページ28

四泉の港

「この間はここで
8人組の怪しい連中を見かけたの」
「特徴は?」
「白銀や緑の髪の男達や
面を被った変人がいたわ」
「そう、なんですか」
緑の髪に
思い当たる人がおり私は言葉に詰まる。

「旅芸人なのでは?」
「違うわよ
こそこそ町の中をうろついて
調べてるふうだったわ見るからに怪し‥‥‥‥」
リリが何かに気づいたように視線を移すので
私もつられて見ると予想が的中。
中心にいるヨナ様の隣にいるのは

姉様‥‥‥‥!!

まだ、四泉にいたとは‥‥
姉様、リリに男と勘違いされてますけど‥?
とにかく
会ってしまう前にここから立ち去らなければ

「ほら!!ほら見た?あいつらよ怪しいでしょ!?」
「あらやだ男前ねぇ
アユラとイオリ様はどれがいい?」
は‥‥?
予想もしない突飛なテトラの言葉に
硬直してしまう。
「テトラさん
イオリ様はスウォン様一筋ですから。野暮な事聞いちゃ駄目っすよ」
は‥‥‥‥‥‥??
キハト、何言って‥‥???
頭が混乱しているとテトラは
「まあ‥!」
と感嘆の声を上げた
「ならイオリ様はスウォン陛下とお付き合いし
想い合ってから婚約されたので?」
うう‥
改めて考えてみると
スウォン様と私って婚約してるんですよね‥‥
私の頬はいつの間にか熱くなっていた。

「ちょっと何バカ言ってんの!?話を戻すけど
私、あの中心にいる女が気になるのよ!」
あっ、思わず私は口を抑える
すみません‥リリ。
「普通の子じゃないです?」
「あの女
先日の尾行中何度も私の視線に気付いたの」
「それは単に
リリ様の尾行が下手だったのでは?」
‥‥‥ありえる話、ですね‥‥
「明らかに普通じゃない子が見てますよ?」
「あー気づかれたみたいっすね
こっちに来ましたよ」
こんな所で気づかれては‥!!
「逃げましょう!!!」
「逃げるわよ!!」
私達は
一目散にその場を後にした。
しばらく走り建物の裏に身を隠す
後ろを振り返ってみると追ってきてはいない
でも、彼らが本気で追いかけてきたら
私は逃げ切れないでしょうけど
「‥‥今日はこの辺にして戻った方がいい‥かも」
「では、私達はこれで」
リリ達に言うと3人とも目を丸くして驚いた
「イオリ様は水呼城に戻るの?」
「夕暮れ時ですし
宿に泊まっていかれませんの?」
姉様達がいなければ一緒に泊まりたかったな
「本当にすみません。
リリ様達と1日いられて楽しかったです」
そう言って私はリリ達と別れた。
まず‥離れた場所で
宿を取らなければ。
辺りが暗くならないうちに、と
歩く足を早めた