58話 ページ33
「はい、アンタの分」
「ありがとう」
ユン君に味噌鍋を分けて分けて貰う。キハトは緑龍と何か話し込んでいる為、私は姉様の隣に座った。
「…本当、似ておるな。シオンとイオリは」
「―――えっ？」
私と姉様を見比べる白龍に呆気に取られて目を丸くした。
私自身、そんなに似てると思ったことは無いのだが…
「そうかなぁ？」
首を傾げる姉様。だが会話を聞いていたらしい青龍は頷き、ヨナもやって来て私の隣に座る。
「…俺もそう思う。雰囲気が似てる」
「でしょ？私もそう思うわ」
ヨナ様は、城にいる時と変わらない笑みを浮かべている。その笑顔が懐かしい。
「やっぱり姉妹よね。姉妹って、どんな感じなの？私、良く分からなくて」
「あ、それ俺も聞いてみたい」
ヨナ様とユン君に尋ねられるも、どう言って良いのか分からなかった。
“姉妹“このことを説明する良い言葉が見当たらない。それは、姉様も同じなようで。
「……なんだかどうやって言っていいか分からないけど…心が温かくなれる、かな」
「確かに、私も」
心が温まる、か。確かにそうかもしれない。
姉様は、いつも優しくて温かい。
「……うん。あったかい、です」
もう一度、言葉にして言ってみる。
温かいこの場所を心に刻む為に。
「イオリは……そなたは、やっぱりシオンの妹であるな」
白龍は、姉様を見てから私を見る。
雪のような白髪が風に揺れた。
この場に静寂が訪れる。
「白龍？えっと何が言いたいんですか？」
「……実は、私はそなたが好きには慣れなかった。姫様を苦しめたことには変わらないのだからな」
だが____と、白龍の言葉はこれで終わりでは無くまだ先にも紡がれた。
「皆を助けに来たそなたを見て考えを改めた。助けようと翻弄する優しいそなたは、やはりシオンの妹だ」
晴れ晴れとした顔の白龍___キジャ。
私は、“ありがとう“と精一杯の感謝を述べた。姉様は優しく、ゆっくりと私の頭を撫で続けてくれた。
「―――二人とも、やっぱりラナの血を引き継いでるな」
ずっと、私達の会話に口を挟まず見守っていたゼノの声は空気中に溶け込み消えていく。
ゼノがラナ様を知っているのは“始まりの龍“だからかな。
全ての始まりを背負う黄色い龍――彼は、私からは死角になっている木の裏へと声をかける。
「兄ちゃんは言いたいこと無いのか？」
「……」
そっと姿を表したのは、ハクだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 81人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
暁風の夢(プロフ) - 芽留さん» ありがとうございます！更新は遅くなるかもしれませんが精一杯頑張ります！ (2016年5月7日 21時) (
レス) id: 4565eb4012 (このIDを非表示/違反報告)
芽留 - 初めまして(//∇//)小説大好きです(*≧∀≦*)これからも頑張って下さい＼(^o^)／ (2016年5月7日 21時) (レス) id: 9850d6f22d (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - りりらさん» ありがとうございます！これからも この作品をよろしくお願いします (2016年3月25日 19時) (レス) id: 4565eb4012 (このIDを非表示/違反報告)
りりら - 一気に読んでしまいました！面白かったです (2016年3月25日 19時) (レス) id: c83de81e00 (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - きーや(｡-_-｡)さん» コメントありがとうございます！そう言って頂けると嬉しいです (2016年3月24日 10時) (レス) id: 4565eb4012 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：暁風の夢 | 作成日時：2015年12月3日 22時
