57話 ページ32
スウォンの出番が無くてすみません。もう少しヨナ達との関わりが続きます。
***
姉様の容態も落ちつき、高華国に帰って来た私達は国境沿いの森の中で。
「――用も終えたから帰りましょうか」
私が、仲間に囲まれている姉様とヨナ様達の光景から背を向ける。
「――良いんですか?」
「良いのです」
キハトが緋龍城に帰って良いのか、と念押して確認してくる。
私の目的は、姉様達を敗残兵から守り想いを伝えること。もう既に成し遂げた。
「……返してくれる気はなさそうですけど」
「キハト?」
「あ、いた!イオリちゃん!」
緑龍に引き留められて、思わず私は振り返った
「帰っちゃうなんて勿体無いじゃないか」
――――一瞬、彼が何を言っているのか分からなかった。勿体無い?
その思考も、直ぐ様中断せざるを得なくなる。
緑龍は私の手を握り胸元までもってくると、囁くようにこう言った。
「僕は君と二人っきりで話がしたくてさ。この後って時間ある?」
…………は?
硬直する私。引き寄せられた体はキハトにぶつかった。緑龍には影が一瞬で迫って。
「妹を口説かないのッ!バカジェハ!!」
「シオン――ッ」
割と容赦ない拳が緑龍の腹に直撃し、踞る。
私の肩に手を置くキハトは何故だが苛立っていた。私には分からなかったが姉様は何か察したようで
「ごめんね、キハトさん。迷惑かけて。あと、ジェハに取られちゃうなんて心配は無用とも言っておくよ」
「それはどうも、シオン様。まぁ、生憎イオリ様の隣は両方とも埋まってるんすよ」
ぎゅっ。力強く抱き締めてくるキハト
どうも話についていけなくて私は困惑する
「それは良かったぁ。イオリってね、結構鈍いから心配してたんだよ」
姉様は安堵した表情を見せ、緑龍は興味深そうに此方を見ている
その話の流れから、ようやく私は皆に思考が追い付いた
「ねぇ、イオリ。大切な人は出来た?」
目を真っ直ぐに見つめる姉様に、私は微笑みながら答えた。
「はい。毎日が幸せです」
――大丈夫。私にはスウォンとキハトがいてくれるから
「私も幸せ。ジェハに会えたから」
そう言う姉様は本当に幸せそうで、私も心から安堵した。緑龍のどこが良いんだか。
「お〜い!ご飯だよ!」
「分かった〜!イオリ、キハトさんも食べていってよ。ユンの料理は美味しいんだから」
私達も、一緒に____?
そんなこと、まるで夢みたい。
「では、お言葉に甘えて」
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暁風の夢(プロフ) - 芽留さん» ありがとうございます!更新は遅くなるかもしれませんが精一杯頑張ります! (2016年5月7日 21時) (レス) id: 4565eb4012 (このIDを非表示/違反報告)
芽留 - 初めまして(//∇//)小説大好きです(*≧∀≦*)これからも頑張って下さい\(^o^)/ (2016年5月7日 21時) (レス) id: 9850d6f22d (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - りりらさん» ありがとうございます!これからも この作品をよろしくお願いします (2016年3月25日 19時) (レス) id: 4565eb4012 (このIDを非表示/違反報告)
りりら - 一気に読んでしまいました!面白かったです (2016年3月25日 19時) (レス) id: c83de81e00 (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - きーや(。-_-。)さん» コメントありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです (2016年3月24日 10時) (レス) id: 4565eb4012 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁風の夢 | 作成日時:2015年12月3日 22時