56話 ページ31
「…許さないで?貴方は私に辛いことを言うのね。イオリ」
訳が分からない。
ヨナが私を力強く抱き締めてきたのだ。
「ヨナ…姫様…」
「イオリは助けてくれた。私達と村人達を、だから貴方の行動には嘘がないって信じることが出来る」
ヨナに、返す言葉が見つからなかった。
まだ私を信じてくれるのか。それが夢のようで
「私を、信じて下さるのですか……?」
「当たり前でしょ。貴方も私の大切な人よ」
その言葉が私の光だった。
裏切ったのに。私は沢山、傷つけてきたのに
「―――おかえり」
ヨナの暖かい声に、胸が熱くなる。
ああ、私はもう光から目を背けなくていいんだ
そう思うと、自然と涙が込み上げてきて
「ただいま____」
涙でぐしゃぐしゃになった顔でそう答えた。
私は嬉しすぎて、嬉しすぎて堪らない。
けれど、私は_______。
「よし、じゃあ帰ろっ。皆も疲労してるし体を休めないと……」
姉様は、ふと言葉を詰まらせる。震えた手で胸を押さえていることが気にかかって…
「姉様?…姉様、どうしたんですか?」
「……イオ、リ…ごめん……」
私の方へと傾いてきた姉様の体を、しっかりと抱き止める。苦しそうに息を吐き、意識を失ってしまった姉様の姿に驚愕した。
「姉様ぁっ!!」
「「シオンッ!?」」
緑龍がいち早く駆け寄って来る。心配や不安を抱えているヨナ姫様達。
「どうしたんだ!?」
切羽詰まった緑龍に姉様の体を渡す。
大切そうに腕で支える緑龍に私は安心させるように笑った。
「大丈夫。能力の扱いは姉様より上手なんです。姉様を助けられます」
「イオリ様…?」
「アンタ何をするつもりなの?」
ヨナ姫様とキハト、ユン君、白龍が不思議そうにこちらを見た。
青龍も面越しだが不安な気持ちが伝わってくる
「信用して大丈夫だから。ゼノが保障する」
「……何故だい?ゼノ君。妹ちゃんを信用してない訳じゃないけど、どうもね」
予想外の人物の言葉に緑龍は首を傾げる。
黄龍は自信ありげに答えた。
「ゼノの大切な人。ラナが信じてる人だからな。それに、妹さんは姉ちゃんの妹だろ?悪人な訳がないってゼノは思う」
「成る程。任せるよ」
緑龍は納得したように頷く
皆も、了承してくれ様子。
私は最後にハクを見る。これまでずっと避けていた瞳から目を反らさずに。
ハクは少しの沈黙の後、ただ一言
「頼む」
そう言ってくれた
姉様の体に手を翳すと温かな光が包み込んでいく。それは淡い黄金の光だった
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暁風の夢(プロフ) - 芽留さん» ありがとうございます!更新は遅くなるかもしれませんが精一杯頑張ります! (2016年5月7日 21時) (レス) id: 4565eb4012 (このIDを非表示/違反報告)
芽留 - 初めまして(//∇//)小説大好きです(*≧∀≦*)これからも頑張って下さい\(^o^)/ (2016年5月7日 21時) (レス) id: 9850d6f22d (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - りりらさん» ありがとうございます!これからも この作品をよろしくお願いします (2016年3月25日 19時) (レス) id: 4565eb4012 (このIDを非表示/違反報告)
りりら - 一気に読んでしまいました!面白かったです (2016年3月25日 19時) (レス) id: c83de81e00 (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - きーや(。-_-。)さん» コメントありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです (2016年3月24日 10時) (レス) id: 4565eb4012 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁風の夢 | 作成日時:2015年12月3日 22時