55話 ページ30
いくら傷つけられても、いくら、心臓の音が止まっても、私は何度だって生き返る。
死なない私と、死ねない黄龍____ゼノ
命の化け物相手に兵士達は怯えて腰を抜かした
「な…何なんだよ…てめぇら」
震えた声で言う兵士達に、静かに答え返す
「お引き取り下さい。これ以上の戦いは、無意味です」
「…分かっただろ?俺達は何百年だって戦える。まだ娘さん達に危害を加えるというならば、おいで。時間はまだ、たっぷりとある」
「う、うわあああ―!!」
自らの武器も捨て、私達に無防備な背を向けて兵士達は退却していった。
ヒュウウ…
暖かい風が、私達を包み込んでいく。
「……イオリ」
姉様が、くるりと振り返って私を見た。
その眼差しは昔と変わらず優しい瞳で。
ああ、私は
どれだけこの優しさに甘えていたのだろう。
「姉様…私、は……」
「______全く貴方は、しょうがない子だね」
「姉さ____いたっ」
姉様に、額をデコピンされ思わず声をあげた。
「何をするんですか」と言って姉様を見上げればその顔は笑っていて
「お仕置き。私はこれで許してあげる。
_______いってらっしゃい。イオリ。話があるんだよね?」
「……はい」
姉様の言葉に頷き、私達の周りに集まってくる彼らに体を向けた。
ハク様や四龍、ユンさんはヨナを大切に寄り添うように
して立っている。
そのヨナ様の緋龍城にはなかった新しい居場所を再確認して、私は考えを改めた。
「イオリ、私は……」
「お止めください」
言おうとするヨナを制する。
何かを察したのかヨナやハク達も黙って成り行きを見ていた。
「私から言わせて下さい。ヨナ姫様。
生きていて下さってありがとうございました」
「――――」
「私はヨナ姫様やハク様が大好きで、あの夜からずっと貴方様達のことが頭から離れませんでした」
「………イオリ」
「でも、国と陛下の為…裏切ったのは事実です。
だから、お願いです。私を許さないで下さい」
失ってしまった時間が戻せたら。
なんて期待している自分がいるけれど。
…ヨナ姫様やハク様の優しさに甘えてはいけない。
ヨナ姫様、ハク様の居場所は、仲間達に囲まれたあの場所。私はスウォンのいる緋龍城。
お互い、いるべき場所が違うんだよ。
「皇后」としての覚悟を決め直さなければ。
この時点で、スウォンの従者でヨナとハクの友人の「私」とは別れを告げよう。ここで、今。
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暁風の夢(プロフ) - 芽留さん» ありがとうございます!更新は遅くなるかもしれませんが精一杯頑張ります! (2016年5月7日 21時) (レス) id: 4565eb4012 (このIDを非表示/違反報告)
芽留 - 初めまして(//∇//)小説大好きです(*≧∀≦*)これからも頑張って下さい\(^o^)/ (2016年5月7日 21時) (レス) id: 9850d6f22d (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - りりらさん» ありがとうございます!これからも この作品をよろしくお願いします (2016年3月25日 19時) (レス) id: 4565eb4012 (このIDを非表示/違反報告)
りりら - 一気に読んでしまいました!面白かったです (2016年3月25日 19時) (レス) id: c83de81e00 (このIDを非表示/違反報告)
暁風の夢(プロフ) - きーや(。-_-。)さん» コメントありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです (2016年3月24日 10時) (レス) id: 4565eb4012 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暁風の夢 | 作成日時:2015年12月3日 22時