緑の風を探して2

28話 ページ3

《水呼城前》


何やら城の者が慌ただしく動いている。
そんな中
こそこそと身を隠しながらどこかに向かおうと
しているリリの姿を見つけた。
「リリ。そんな所で何してるんですか?」
びくぅ
リリは私達にも分かるほど飛び上がって驚いた
「イオリ様‥!!仙水に行くの!
ついてきて!!」
えっ?仙水に‥?
「な、何で‥」
「いいから早く!!」
何が何だか分からずに
とりあえず馬を走らせる。
道すがら事情を聞くと
リリは
麻薬密売人の討伐の為ジュンギ将軍に頼んだが
聴いて貰えず水の部族長の象徴である
水の金印を持って逃げ出してきた とのこと。
「リリ 一人で来たんですか?」

「ええ。アユラは謹慎中で
テトラは密売人の刃に刺されて絶対安静なの」
「えっ‥テトラが‥‥」
そっか、千里眼で見たときの
あの光景はテトラが倒れてしまったから‥!
「大丈夫なんですか?テトラは?」
「ええ。なんとか‥」

「‥それにしても
水の金印‥は水の部族長の権威の象徴っすよね
良いん‥すか?」

「いいえ。これは大罪よ」
リリの頬に冷や汗が滴り落ちていく
けれど、彼女は決意ある眼差しで答えた。

「この身にどんな罰が下されるか分からないわ

でも

これが、私の闘い方よ!!」

罰も恐れず水の部族の為に
そう言い切る姿はヨナ様と重なって見えた。

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