23話�� ページ42
「まさかローが
オペオペの実の食ってたとは…
だから組織のこと知ってたんだな。
俺らがまとめて捕まったら
この世は終わりだな。
これで納得したか」
「………」
「もう何も言うことない。
俺が持ってるものは全部言った。
お前は…次は何を求めるんだ？」
確かに知りたいことは全て知れた。
Aがあの時言った、
仲間にも迷惑がかかるというのは
世界政府のことを言っていたのだろう。
Aを仲間にした麦わらの一味にも
さらに強い力が牙をむく。
Aはふうっと一息つき、
ココアを飲もうと手を伸ばした。
しかし、その手は自分の背中に回った。
近づくなと言った距離。
それをサンジは越えてきた。
だからまた威嚇しようと
右手で短刀を取り出したが、
あっという間に手首を捕まれ、
左肩を押さえられ壁につく。
「っ…離れろ……っ！」
しゃがんだサンジは
以前Aが酔っていたときのように、
呼吸を奪うようなキスをした。
マッチ棒のように細い腕で
抵抗できるわけもなく、
短刀は床に落ちた。
苦しくなったAは
掴まれていない左手で
サンジの腕を押して離そうとするが、
やはり非力。
しばらくすると、
Aの体が痙攣してきた。
びくん、びくんと足や手が動く。
窒息の特徴だ。
本気で自分を殺そうとしているのかと
Aは遠のく意識の中で考えた。
✾
「ゲホッ！！ゴホッゴホッ…！」
意識はいきなり戻り、
血の混じった咳をする。
何のつもりなのか、
サンジはAの背中をさするがその手を弾いた。
「ﾋｭｰ…ﾋｭｰ………コホッ……
いきなっ……なに、する…ゴホッ！」
口を抑えながら
せめてもの抵抗か、サンジを睨む。
まだこいつは自分の傍に
しゃがんでこっちを見ている。
唯一の武器の短刀を探したが
サンジが持っていた。
「(…んの野郎…！)」
「俺が次に求めるのは…」
「っケホッ………？」
器用に短刀を回し、
ピタッと止めた刃先は
Aの心臓に向いていた。
「お前の心かな」
「………はあ？？」
「くれる？」
「…やらねーよ。
俺の命はルフィのもんだ。
いくら仲間のお前らでも
それはやらない」
「…ふーん……まぁいいわ」
サンジは短刀をAに返し、
立ち上がって物置から出ていった。
喉を抑えながらAは唖然とする。
一体あいつは、
本当に何を考えていたのか。
顔が熱くなるのも窒息の特徴か。
Aは短刀を背中にしまって
ココアを飲み直した。
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作者名：リョク | 作成日時：2020年5月24日 12時
