17話�� ページ15
Aのような、生気のない目で
淡々と喋る。
ゾロは言葉も出なかった。
「何通りも試してるうえに、
Aにはちゃんと痛覚がある。
あまりの痛みで気を失っても
目を覚ませば体は治ってる。
だから実験は続く。
死にたいって言うのも…わかるだろ？」
まさに悪逆非道。
残虐で残酷で狂っている。
それらの実験を、子どもにもやっている。
世界はどこに向かっているんだ。
「それがもう…10年近く続いた。
ぶっ壊れそうだから逃げ出したんだ。
どこにも逃げ場はなかった…けど、
お前らに出会えたのはほんとに奇跡だ。
Aを見つけてくれてありがとな」
「…偶然だ」
「偶然でも、Aは救われてるんだ」
話しているうちに目的の階へついたらしい。
大きな機械を動かしている、
研究者の親分。
「お前か。
こんな狂気じみた研究をしてんのは」
「侵入者は追い出せなかったか…」
親分はベルの方に体を向けた。
「どうやって入ってきたのか知らんが…
君が侵入者と繋がっていたんだな」
「…？」
「この建物のドアはスイッチを押すしか
開ける方法がない。
もう1つあるが…あいつは私の
忠実な下僕だ。
前者しか考えられない。
342号。君がスイッチを押したんだな」
「(スイッチ…？Aは押してないはず…
………あいつってまさか…)」
「んなことはどーでもいいんだよ。
俺は今すぐてめぇとてめぇの後ろにある
ふざけた研究をぶった斬る」
親分からすれば
絶体絶命のピンチだが、
慌てる素振りを見せず、
むしろ笑っている。
「私を斬る？
ずいぶんなめられたものだ。
なぁ342号。教えてやらなかったのか？
この組織にどれほど強い用心棒がいるか。
私の護衛の彼を呼べば、
すぐに決着はついて………！！！」
親分が何か言い終わる前に、
特別でかい振動で建物が揺れた。
数秒遅れて、天井にヒビが入る。
「…！？」
「なっ…何が…！」
「おおおおおおおおおお！！！！！」
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作者名：リョク | 作成日時：2020年5月24日 12時
