【ONEPIECE】死の執着【男主】 (ページ43)

今日:4 hit、昨日:19 hit、合計:228,408 hit

11話② ページ43

何のことかと思えば、
右腕からいくつもの目が出てきた。
ぼーっとして気が抜けている証拠だ。
包帯を取って見せたまま
巻き直さずに酒を飲んでいたから、
目が露わになっている。
さっきより数が多い。
Aは巻き直そうと左手でやるが、
アルコールのせいか上手くできない。
見兼ねたサンジが代わって
包帯を巻いてくれた。

「ありがと…」
「酒弱いんだな」
「…はじめて……飲んだ…」

自分の右腕を見ながら、
突然Aは笑いだした。
思わずサンジは手を止める。

「どうした…」
「ふふっ…………俺なぁ…
はじ、めてだよ………こんな楽しい、の…
……ルフィが……仲間にさそって…
くれて、うれしかった」
「…お前すげー酔ってんだろ……」
「……………研究所に…」

しっかり巻き直したら、
Aが研究所のことを
自ら話し始めた。

「…俺みたいな…子どもは、
たくさんいるんだ………
俺は、342番目……
……多分今は、500番目くらい、
だと…思う…もっといるかな…
……失敗作は、実験に耐えられなくて死ぬ…
生きてる数より……殺された数が多い」
「………」

Aは研究を始めてから、
最も完成に近い存在だった。
不完全な再生能力は
再生が追いつかずに死んでいく。
少しでも再生能力を持つ実験体の細胞を、
新たな実験体に投与していく。
そうして段々と、
より強い能力を持つ者ができあがってくる。
しかし、極めてリスクの高い実験だ。
後に来る奴の方が
ゾンビになりやすいかというと、
実はそうでもない。

「多分…はじめての、成功作…
死なないしな……俺の後に来た子どもは、
俺の細胞………を、入れられる…
けど、適応しないのか、
再生する奴は…少ないうえに、
すぐ………死ぬ……………姉貴も…死んだんだ」
「姉…？」
「一緒に…捕まった」

弟は成功し、
姉は失敗して死んでいった。
本当にたまたま、
Aの体に適応した。

「同じ時期に……来た、ヤタローがな…
うたってるんだ。
ブルックが弾いてる曲……」

❁❀✿✾

「それなんて曲？」
「知らない」
「知らないの？」
「知らない。でも好きな曲なんだ」

❁❀✿✾

「ずっと…歌ってた………
ヤタローも…死んだんだ……」
「………」

❁❀✿✾

「曲名ですか？」
「あぁ」
「"生者の闇、死者の光"です」
「………」
「皮肉ですねぇ…彼の知り合いが、
よくこの曲を歌ってるそうですよ」

❁❀✿✾

ほんとにそんな曲があったらどうしよう…