【ONEPIECE】死の執着【男主】 (ページ35)

今日:16 hit、昨日:10 hit、合計:228,430 hit

9話① ページ35

次に見えた島は、
海賊の休憩所のような、
海軍基地のない島だった。
世界政府非加盟国というわけではないが、
かなり治安は悪そう。

「この島のログは2日ですって」

ナミがログポースを見ながら一味に伝える。
その間好きに行動していいが、
麦わらの一味はただでさえ有名な海賊。
喧嘩をするようなことはしないと
ルフィたちに釘を刺す。
それで約束が守れるなら
今まで苦労はしていない。
とりあえず各々が街へ降り立った。

「ようA、おめー手先器用だってな」
「？」

島の様子を見ようと物置から出たら、
フランキーに声をかけられた。

「りんごすごかったぜ」
「あぁ…ありがとな」
「ちょっと俺を手伝わねーか？
どうせ暇だろ」
「……わかった」

この船にきて二週間。
なんだか一味は
Aに普通に接している。
それが不思議でならなかった。
兄貴分のようなフランキーは
Aに対しても態度は変わらない。
当初ビビりまくっていたウソップは
すっかりAと打ち解けている。
見るからに自分を怪しんでいた
ナミやロビンも、
普通に話しかけてくる。
フランキーに指示され、
作業を開始した。

「(気味わりぃ…)」

海賊旗を掲げてはいるが、
もしかして海賊を捕まえるために
海賊に成りすましている海軍とか？
いや、それはないな。
世界政府の旗を撃ち抜いたとか、
インペルダウンで大暴れしたとか、
政府側である王下七武海を倒したとか、
やたらと噂を聞く。
海軍が海軍に喧嘩は売らないか。
どんな役者魂だ。
それよりも自分を捕まえにきた
海軍の回し者だろうか。
そんな考えが少しでもよぎり、
作業する手が一瞬止まる。
しかしすぐに手を動かす。
例え回し者でも
やはり政府に
思いっきり喧嘩は売らないだろう。
となればただのはた迷惑な海賊なのか。
気のいい海賊ということにしといた方が
精神的には楽かもしれない。
そういうことにしておこうか。
ずっと悶々と考えていたら、
いつの間にか作業は終わったらしい。
フランキーにめちゃくちゃ褒められた。

「(……何の作業してたか思い出せない)」

肉体と精神が切り離されたような、
そんな気分だった。

❁✿✾ ✾✿❁︎