月【 JUMP】 (ページ12)

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明日の綺麗な月を私は見れないかも知れません#12 ページ12

*YouSIDE*

時間がないんだ

もうあたしには

9人の誰一人知らないこと

重大すぎる秘密

あたしはもう

.

.

あと１ヶ月生きられるかもわからないんだ

君の顔をもう一度見ることもできないかもしれない

触れることなんて夢のまた夢

このことを伝えたらきっと

圭人は優しいから無理させてたよねごめんねって言うの

侑李は寂しいってくっついてきて

いのちゃんは一生の友達なのに教えてくれなかったのって眉を下げて言う

ゆーやんは他に道はないのって言って

薮くんは医師に話を聞きに行くの

ひかがあたしに本当に１ヶ月って言われたのって聞く

大ちゃんは涙目になって山田にいわなきゃって言って

ゆーとは大ちゃんを追いかけていくんだ

想像しただけで寂しいよ

大『A…』

半分夢の中にいたあたしを引き戻す声

髪を梳く暖かい手

「大ちゃんだぁ…」

大『っ…Aはずっと変わらないの?』

「えっ?」

大『俺は…こんなにAが好きなのにAは山田をずっと見てる』

「大ちゃんのこと大好きだよ…でもね忘れたいけど忘れられないの」

大『…忘れさせたいけど忘れないんじゃん』

ぎゅっ

抱き締められて暖かい陽だまりのような匂いに包まれる

大ちゃんに抱き締められるのは心地いい

包まれる感覚に安心する

「忘れさせてよ…大ちゃんが」

どうせ時間もないから

折角なら大事なみんなとの思い出がほしいよ

だから大ちゃんが塗り替えてよ

君色に染まってしまった記憶も心も全部

もう会えない人の記憶も思い出も要らないからさ