【そらる】こっち向いて【男主】

(33)： ページ33

luz side


・



・



「···にぃ、光にぃ」



1粒の涙を流した後、少し寝てしまっていたみたいだ。
目の前には愛おしい人の顔。



〈ん〜、A〜〜、眠い、〉



Aの首に僕の腕を巻きつけて、ちょっと悪そうな女の子を演じてみる。



「眠いも何ももう17時だから帰るよ」

〈家帰ったらご飯作ってくれる？〉

「うん、何食べたい？」



Aが僕の背中に腕を巻き付けて、そっと僕を起き上がらせる。



〈ん、A、〉

「へ？」

〈うっそー、肉じゃが食べたい〉

「あ、あぁ、多分しらたきないからスーパー寄って帰ろうか」

〈はーい〉



動揺してるA、可愛いなあ。
そんな反応されちゃったら期待しちゃうじゃんね、？

ほら、こうしてる間にも僕とAの仲はどんどん深まっていく。



どう？相川くん、僕が羨ましい？


あー、独占欲、強くなってきちゃってるなあ。
こんなに黒い感情が湧き上がるのは初めてだよ。



「なに」

〈ん？なにが？〉

「いや、めちゃくちゃニコニコしてこっち見てくるから」

〈あはは、肉じゃが楽しみだなーって〉



どう抗おうとAは僕のものだよ、誰にも邪魔させない。



・

(34)：→←(32)：

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す