私の口は喋らなくていい事を喋るのが上手らしい*4部【名探偵コナン/トリップ】

173話 ページ45

頬をざらりとした感触のうっすら暖かみを感じるものが撫でた

まだ覚醒していない頭のまま、これは何だと手を伸ばすとふさふさとした感触があった

…毛？



ゆっくりと目を開きその方向を見てみる

「にゃあ」


「…れい」


真っ白い毛並みのペルシャ猫

私の飼い猫の"れい"だ


…私死んだんじゃないの？


「っていうか！！！なんでれいが！？！？」

頭が急覚醒し勢いよく体を起こすとスプリングが音を立てる

…私の、元の世界の私のベッドの上に私はいた


いきなり起き上がった私にれいは尻尾を膨らませベッドから飛び降りた

ごめん


「れ、れい…私なんでここに」

「にゃあ」

「…うん、そうだよね、分からないよね」


ベッドから降りて窓前に立ってカーテンを開けると前と変わらぬ世界が広がっていた

本棚に目を向けると"名探偵コナン"が揃っていた


戻ってきたのだ、戻ってきてしまったのだ私は



小さな棚の上には以前購入した安室さんのフィギュアが立っていた

…もしかして夢だったのか




「はは、そうかも」


妄想が長引いただけだ

とても楽しくて悲しい夢だったなあ



…少し、いやかなり寂しいや


つん、と安室さんのフィギュアの頬をつつくが勿論反応はない


「…れーたん

…なーんて！返事するわけないか」  


"れーたんって呼ばないでください！"なんて言ってた彼が懐かしく感じる

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