【◇】銀木犀 6. (ページ27)

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藍里｢まぁぶっちゃけた話、Aには上にお兄ちゃんがいて下に弟がいるってこと｣

面倒見がよくて

包容力があって

優しくて

今、この事実を耳にした瞬間

なんとなくそういうことかと納得した自分がいた

鳴｢へー、だからなんか姉ちゃんっぽくて俺の扱いがちょっと親戚の子供に対する接し方みたいな時があるわけね｣

藍里｢姉ちゃんと言っても、姉だけど姉じゃないというか｣

鳴｢え？｣

藍里｢Aは双子なの、男と女の双子｣

鳴｢待ってじゃああのスカした顔した学ラン男って｣

藍里｢そういうこと｣

話に割って入ったり

謎に喧嘩を吹っ掛けてきたり

え？俺の方がAのこと知ってますが？顔をしていたのは

Aの双子の弟だった、ということだ

はっきり言えば今死ぬほどびっくりしている

そんなことまだ聞いたことがなかった

藍里｢上にお兄ちゃんがいて双子のAたちがいる｣

鳴｢双子…｣

藍里｢まぁアイツ過保護だしね、というかAの家の人ってお母さん以外大体あんな感じ｣

鳴｢双子の弟……｣

藍里｢アンタは双子の弟に焦ってたってことになんのよ｣

昨日のことを少し思い出す

そしてそれよりも前のことも思い出す

言われてみれば似ているかもしれない

小さい顔に、同じ桃色のパッチリとした目、綺麗な黒髪

何より2人して纏う雰囲気がどことなく近かった

でもひとつだけ納得がいかない

同じ双子の姉であるAはあんなにも優しいのに

なんで双子の弟である千遼はドギツイ性格をしてるのだろう

よく分からないけど双子って似るものなのでは？

鳴｢Aちゃんの大事な双子のきょうだい…｣

藍里｢そう｣

鳴｢Aちゃんの双子…｣

うっすらと思い出されるあの憎たらしい男の顔

まるで自分より下の生き物を見て馬鹿にするかのような顔

うっすらどころかだんだん鮮明なものになってきた

Aのことは大好きだけど

こればっかりははっきりと言わせて欲しいと思う

鳴｢俺、あいつ嫌い｣

藍里｢安心しな向こうもあんたの事嫌いだから｣

成宮鳴は本宮Aの双子の弟本宮千遼が天敵だった

何が嫌いとかは上手く言えない

ただ本当に心底嫌いなのははっきりとしている

きっとあの顔と言動が嫌なんだろう