266話 ページ22
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「完全に風邪ね」
朝からぼんやりと聞こえた体温計の音
昨日の夕方から頭が痛くて痛くてたまらなくて
体がだるくて重いと思っていた結果見事に風邪を引いた
「今日は学校休んで1日中寝てなさい」
最悪なのか、逆に最高なのかわからなかった
学校を休めるのは正直少し嬉しい
今日は嫌いな授業があったし
それに昨日、あんなことがあったんだから
休みになってよかったのかもしれないとさえ思う
それがいい事なのか悪い事なのかはわからない
─ねぇ、成宮くん
─私と成宮くんは……これから先も友達?
何がしたかったのか自分でもよく分からない
何もかもわからないことだらけで
これが本当に好きというものなのかもわからない
ただ、間違いなく昨日のあの瞬間の出来事は全て
嬉しかったしこれ以上ないほど幸せだった
本当にこれだけは間違いないし嘘でもない
─ ………………どっちがいい?
─俺は……
悲しそうに笑った顔が忘れられずにいる
初めて見た顔だった
大して長くはいないけどそれでも本当に
あんな顔を見るのは初めてで
悲しそうな、辛そうな、そんな顔だった
あの時、あの人は私に全てを委ねた
じゃあ私がもしもあの場で違う答えを口にしていたら
あの人はどんな顔をしたのだろう
そしてなんて言おうとしてたんだろう
傷つくのが怖くて友達以外はありえないと言った自分が
どうしようもないほど許せない
A「……………もう忘れたい」
布団を頭から被り、ギュッと目を瞑った
沢山寝れば昨日のことなんて思い出せないほど
スッキリすると思ってた
でもあの日から一夜明けても忘れられなかった
千遼が言った言葉がトゲのように刺さって抜けない
A「(私、酷いこと言ったのかな)」
A「(あんな顔させてしまったのはきっと私に原因がある)」
いつも隣で笑ってくれる彼のことが好きだった
きっと今もどうしようもないほど好きだと思う
寝ても醒めても考えるくらいには惚れ込んでいる
A「(会いたくないのに、会えないのは寂しい)」
きっと人はそれを恋と呼ぶけれど
私はまだ、呼びたくなかった
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みこ(プロフ) - 初めまして!途中から号泣しつつ、焦ったくてソワソワしてました(*_*)更新楽しみにしてます! (6月3日 23時) (レス) id: f5c0cfc27f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちあき | 作成日時:2022年8月11日 5時