【◇】銀木犀 6. (ページ1)

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245話ページ1

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頑張る人の姿はかっこいい

小さい頃から感じてた思い

どんなことでも諦めずにただひたむきに

一生懸命頑張る人のことを心の底から尊敬する

でも、いつからだろう

そんな人を見る度に羨ましいだとか、どうして自分はとか

どちらかと言うと惨めな思いをすることが増えた

A｢(私の知ってる成宮くんはどこにもいない)｣

A｢(ここに立ったらもう期待や責任全てをその身に背負うエースなんだ)｣

自分に負けてしまったら試合の相手にも勝てない

気持ちで負けたら試合も負ける

スポーツをやってる人なら大体は聞いたことがあるであろう

根拠も何もない言葉

確かにそうだよなって心のどこかで頷いている

自分自身にすら負ける人は試合の相手にも勝てない

自分なんて、だとかそんな言葉を吐く人間は

試合で勝てるわけがないことを私はよく知ってるし

そもそも野球とか、バスケとか、バレーは団体競技で

自分のプレーひとつひとつがチームを左右する

自分だけの責任、なんてものはない

誰だって全てを背負わなければならない

A｢(私がもしも成宮くんの立場ならきっと逃げ出したくなる)｣

A｢(それなのに……成宮くんは楽しそう)｣

人との信頼だって重要になる

誰か1人にだけ全てを背負わせたり

責任全てを擦り付けるようなチームは勝てっこないんだ

褒め言葉としてよく使われる"絶対的エース"って言葉も

本当は褒め言葉でもなんでもない、無責任な言葉だ

団体競技は全てが重くのしかかる世界

プレッシャーに潰されてしまう人だっているんだし

本当に強い人はきっとそんなプレッシャーでさえ払拭できるんだろう

─アンタはエースなんでしょ？点とって当たり前じゃん

─どうせウチらは凡人だし

どうして彼はあんなに楽しそうに笑うんだろう

その目には何が見えてるんだろう

A｢やっぱりすごいなぁ、ほんと｣

野球のこととかまだあまりよく知らないけど

強さとかそれこそ全然知らないけど

でも、そんな私でもはっきりと分かる

この人は特別な人なんだって

表情が、空気が、周りの反応が全てだ

A｢私も強くなりたかった｣

A｢成宮くんみたいに｣

この気持ちは憧れや尊敬なのか

ますます分からなくなるばかりで