【◇】銀木犀 6. (ページ19)

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263話ページ19

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─ねぇ、成宮くん

─私と成宮くんは……これから先も友達？

昨日の夕方からずっとずっとぐるぐると

頭の中を行ったり来たりしている言葉

悲しそうで、辛そうに見えた顔

あの言葉には一体なんの意味があったんだろう

友達でいることに不満も何もない

話すのも、授業中にこっそり手紙を描くのも

ちょっとしたことでも笑ってくれるのも全部楽しいから

友達だからこれらが成り立っているんだろうとさえ思う

鳴｢友達かぁ………｣

ちょっとだけ、本当に本当に本当にちょーっとだけ

もしもを考える

勇気を出して好きだと伝えられた時

Aちゃんはなんて返してくれるんだろう

振られちゃうかもしれないし

上手く行けば好いてくれるかもしれない

でも実際のAちゃんはきっと友達としか認識していないしそれ以上でも以下でもないと思ってるんだろう

大好きだけどこれを伝えることで関係や距離感が変わってしまうのなら躊躇ってしまう

鳴｢俺もうダメなのかな｣

それほど興味もなかったレンアイというもの

自分には関係ないし、縁もないものだと思ってた

それなのに簡単に全てが変わって

色んなものが次々とひっくり返された

でもまさかこんなに難しくて複雑だとは思わなかった

漫画や映画の中のようにそう簡単に上手くは行かない

昔、姉ちゃんが漫画を読んでなんでだよって突っ込んでいたことを何故かここで思い出すくらいには

どうしたもんかと悩んでいる

｢うっっっわなんか湿気っぽいんだけど｣

朝練を終え、朝の会まで暇で暇でどうしようもなくて

そんでもって珍しく隣の席は空席

先生が来るまで寝ていようと思っていたその時

聞きなれた声が頭上から刺さってきた

別に好きで聞き慣れてないし、できれば聞きたくないけど

席が近いのだから仕方がない

そのまま無視を貫こうと机の上にある腕に顔を埋めると

なんか言えよと机の足を蹴っ飛ばされた

｢無視してんじゃねーよヘタレ王子｣

ムカつく

本当にちょーーーーーームカつく

かわいげの欠けらもない

親友であるAちゃんはあんなにかわいいのに

どうやったらそうなるんだよ

鳴｢今お前の顔見たくないんだけど｣