【◇】銀 木 犀 .

18話 ページ18

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氏名__成宮鳴








丁寧に書かれた漢字3文字。

やっぱり…






A(鳥って文字は書くの苦手…)







"鳴"の"鳥"の字が綺麗に書けない。

人の漢字だし、しかも名前だから

どうしても気になってしまう。









A「あのっ……もう一度書き直し…」



鳴「いや、いいよ書き直しなんてしなくて」








書き直した方が、そう言おうとしたのに

成宮さんに止められた。

なんかキラキラした目でプリントを見てる…。









鳴「これのどこが汚いの、めっっちゃ綺麗じゃん！！」


A「えぇ…！？」


鳴「俺、こんなに綺麗な自分の名前見たことないってくらいだよ！！」









ち、近い近い近い！！

恥ずかしいのに逃げられない！

なんでこの人はこんなに距離感近いの！？









A「そう……？」



鳴「うん、すっげー綺麗！ありがと本宮さん！」



A「綺麗……」








別に自分の容姿を褒められたわけじゃないのに

綺麗って褒められたのが

嬉しくて、ちょっとむず痒い感じがした。







A「あの、ちゃんとプリント見せてもらったお礼はさせて欲しい！」






あまりにも嬉しくて

ちょっと声が大きくなりすぎた。

流石の成宮さんも少し驚いてるし、やらかした…。






A「ほしい……デス……」








あーあ、やっぱり自信が持てない。

人と話す時どうしても相手のことばっか気にしてしまってろくに…まともに話せない。

いつも気分が勝手に上がっては…人を驚かせてしまう。







鳴「別に名前書いてもらったしそれでいいって言ってるのにさぁ」







でもそれじゃあ

私が納得できないんだよ

成宮さん。









鳴「本宮さんちゃんと大きな声出るし、相手の目を見れるんじゃん」



A「？」



鳴「俺、本宮さんはテンション上がってる方がらしくって好きだけどね」



A「こ、これ？」



鳴「うん、これ。」









小学校の友達には…

そのテンションが疲れるから嫌いとか…言われてたのに。

それ以来周りを嫌な気持ちにさせちゃダメだって我慢してたけど

自分じゃない気がして嫌だった。

少しくらい…らしくいたっていいのかな。









鳴「もっと気楽にいればいーんじゃないの？」









貴方はそんなこと言わないの？


貴方は─


あの時の男子とは…違うのかなあ。

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