【◇】銀 木 犀 .

16話 ページ16

.









私が聞くと成宮さんは

きょとんとした顔になった。

別に…見たくてみたわけじゃないもん、隣だから視界に入ってくるだけで…。









鳴「別に眠いのはいつもの事だし心配いらないよ」


A「そっか」


鳴「寝ようと思ったけど隣見たらなんか困ってそーだったから」









それはどうやら成宮さんも同じだったようで

隣だと別に見ようとしてなくたって

見えてしまうらしい。

いや、でも成宮さんの場合私とは違うのかな。








A(…………会話が続かないからこんな至近距離にいられてもなぁ……)








頑張って話かけたつもりだけど

やっぱり慣れないというか

ちょっと怖い。

何を考えてるのか…分からないし

たまに目が怖いから。









A(でも悪い人ではないよ、絶対)


A(困ってるってわかってプリントわざわざ持ってきてくれて…見せてくれたし)









時々顔が怖いけど

根は優しい人なんだってわかった。

それに髪色と同じで明るい性格してるから

きっとだれとでも仲良くなれるんだろうな。









A(いやいやいや、そんなこと考えてないで課題終わらせないと)









男子にしては綺麗な字。

なんてちょっと失礼なことを思ってしまった自分をビンタしたい。









A(なるほど…ここの答えがコレなのは…)








やっぱりあれだけ自信満々に得意だと言うだけあって

かなりの正答率だった。

世界史は人によっては暗記教科だから

それが得意ってことは暗記が得意なのか…。

そうじゃないかもしれないけど。









A(さっきから隣であくびしてるけど…ほんとに寝なくて大丈夫なのかなぁ)









隣から時々聞こえるあくび。

野球部もやっぱり朝練してるんだろうな。

私が学校に来る頃には終わってるから見たことはないけど。

強豪チームだから必ずあるだろう。









A(今度何かお礼しないと…やっぱり男子は沢山食べるだろうし購買のパンとか？)








色々考えてる間に課題はあと1問だけになっていた。

全部写させてもらうのは悪いから所々自分でやってみたけれど大半は成宮さんのおかげ。

ちゃんとお礼しないと。









A(あ、プリント…名前書き忘れてる)









全く何も知らない

野球部のエース、としか分からなかったけど

結構隣の彼は優しい人だってわかった。

17話→←15話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す