No.6 ページ7
少しだけ、思い出した事がある
自分のユニーク魔法のことを
わたしが持って生まれた祝福の魔を
生まれながらユニーク魔法を持つ人間は少ないそうだ
「だから貴方は特別な子」
そう、昔言われた気がする。神に祝福された子だと、そんな事を言われた気がする
あれは誰の言葉だったか……今ではその声の色すら思い出せないけど
『はァ、はぁっ…！』
後方で怒号が聞こえる
待て、と叫ぶ声と共に閃光も弾け、空気を割く
狩人がわたしを追い詰めんと魔法で追いかけ回してきていた
何度目かの曲がり角をまがる
『ここは… 』
人気のない廊下だった
何故かここだけは他と違って人通りが少ない
少ないどころか右を見ても左を見ても人っ子一人居なかった
まるで禁足地のよう
『っ…』
やるなら、今だ
後ろから徐々に狩人の声が迫って来ている
誰も見ていない今、仕掛ける他ない！
…少しだけ、思い出した事がある
わたしのユニーク魔法のこと。それについて少しだけ
生まれながらにして授かったこの力で、わたしは多くの人を誑かし、欺いてきた
自分すらも騙し、偽っていた
『＿＿＿＿己を偽り、全てを欺く
我は幾千の
万人の顔を盗み去る、わたしはまさに大盗賊』
足元から己を作り替えていく
ネモは新しい誰かへと生まれ変わる
記憶も口調も仕草も…全ての個性を模倣し、その人に擬態する
わたしのユニーク魔法
その名も
『＿＿＿＿＿
成り代わる。人混みの中から無造作に掴んだ腕の持ち主へと
単に姿かたちを模倣したのではない
口調も癖も、仕草も考え方も性格も全て己の中へと浸透させる
わたしが適当に掴んだ腕の主
ネモが成り代わった人間の名前
それは
「ジェイド･リーチ」
低い声がわたしを……否、
『何でしょう、クルーウェル先生』
「今こっちの方に誰か来なかったか」
ネモを追いかけ回していた教師が少し息を弾ませそう尋ねてきた
僕は首を傾げ色違いの瞳をすっと細める
サラ、とシーグリーンの髪が揺れた
『いえ、見ていませんが』
「そんな筈は…」
疑心に満ちた視線で僕を貫く先生
だが数秒見つめた後、僕がどこからどう見ても"ジェイド･リーチ"だと諦めた彼はため息をついて背を向け去った
『ふ、ふふ…』
笑いを零し、僕もその場を後にするのであった
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くらげ - コメント失礼します！2シリーズ続いて読みました。なんか伏線とか伏線回収とか綺麗すぎて五芳星とか厄災とかもうほんとにすごかったです！次回作が作られたら速攻で見ます！これからも頑張ってください！！ (12月3日 10時) (
レス) @page50 id: 09404ca91f (このIDを非表示/違反報告)
サカ - 初コメ失礼します！全部一気読みしてしまいました。すごく素敵な物語だと思います!!!!今まで読んだ中で1番好きです (2023年1月22日 22時) (レス) @page50 id: 0270587d36 (このIDを非表示/違反報告)
やぎ - 初コメ失礼します！！この前の小説も今回もとても素敵なお話でした！初めて夢小説で泣きました(T ^ T)これからも更新頑張ってください！ (2022年9月25日 12時) (レス) @page50 id: c3ead30411 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫(プロフ) - 初コメ失礼します！！！！！とりあえず神作をありがとうございます:( ;´ཫ`;):シリーズ一気読みして何度泣いたことか…感動やばいですコレ…こんなに泣いたのは久しぶりですwこれからも投稿頑張ってください！応援してます！ (2021年11月12日 13時) (レス) @page50 id: d86b6fe909 (このIDを非表示/違反報告)
次亜鉛素酸 - 一気読みを今更させていただきました。伏線やら何やらもう神ですね(語彙力)もうコメントをご覧になっていないと思いますが、素晴らしい作品をありがとうございました。 (2021年10月26日 1時) (レス) @page50 id: 1c5b1c4456 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2020年12月25日 18時
