No.25 ページ31
(監督生side)
「首から下は今も見つかってない。多分どっかで偽物だとバレた妹は口封じも兼ねて殺されたんだと思う」
情けない兄貴だよな、俺
力なく笑うカリム先輩に部屋は重苦しい沈黙に包まれた
〔…なるほど。ではネモがアジームくんの妹さんだとしたら、彼女は幽霊となるわけだ。それも実体を持ったゴースト〕
「幽霊が実体を持つって…そんな事可能なわけ？」
〔推測ですが災厄の権能、もしくはそれに準ずる何かの力でしょう〕
職員が推測を並べるのをぼんやりと聞く
カリム先輩の様子が気掛かりで仕方がなかった
〔
…いやはや、まさか死人も器の適合者になれるとは予想外ですね〜…〕
疲弊した声
暫しの沈黙の後、ツノ太郎が緩慢に口を開いた
「で、どうする」
「どうするも何も、連盟が来るまで被害を抑えるのよ」
「ふむ……半覚醒の厄災ぐらいならば僕一人でどうにかなるが」
「頼もしいこった…」
ケッとレオナ先輩がツノ太郎を睨む
〔あー…ここで一つ仮説なんだけど…〕
端末から職員が悩ましげに声を出した
私達はなんだと首を傾げる
〔ネモに降りた災厄、一つじゃないかもしれない…〕
「……は」
それは誰の声だったか
皆がポカンと口を開けた
「…根拠は」
〔第三の厄災ニガヨモギ。あれは本来、海ではなく"川"に落ちると言われているんだ〕
え、そうなんだ
私は目を瞬かせる
〔海に隕石が落ちるのは第"二"の厄災〕
職員が語ってくれた伝説はこうだ
"第二の御使いがラッパを吹き鳴らす
すると巨大な山のような火の塊が海に投げ込まれた
海の三分の一は血に染まり、海の生き物の三分の一が死に、舟も壊されてしまった"
これが第二の厄災の内容
職員が言うには二つの災厄がいい感じに融合し、本来ならば川に落ちる筈だったニガヨモギは海に衝突したのでは、ということらしい
…つまり何が言いたいかというと、チートである
〔油断は禁物だよ〕
あぁと返すツノ太郎
だけどいくら彼でも、やはり二柱相手はキツいんじゃないだろうか
〔ていうかさ、あの子から何か聞いてないの？〕
あの子。それが指すのは数ヶ月前この世を去った少女のこと
〔あの子なら次の厄災に向けて何か対策を練ってると思ったんだけどなぁ…〕
あの優しい笑顔を思い出して私は小さく鼻を啜った
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くらげ - コメント失礼します！2シリーズ続いて読みました。なんか伏線とか伏線回収とか綺麗すぎて五芳星とか厄災とかもうほんとにすごかったです！次回作が作られたら速攻で見ます！これからも頑張ってください！！ (12月3日 10時) (
レス) @page50 id: 09404ca91f (このIDを非表示/違反報告)
サカ - 初コメ失礼します！全部一気読みしてしまいました。すごく素敵な物語だと思います!!!!今まで読んだ中で1番好きです (2023年1月22日 22時) (レス) @page50 id: 0270587d36 (このIDを非表示/違反報告)
やぎ - 初コメ失礼します！！この前の小説も今回もとても素敵なお話でした！初めて夢小説で泣きました(T ^ T)これからも更新頑張ってください！ (2022年9月25日 12時) (レス) @page50 id: c3ead30411 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫(プロフ) - 初コメ失礼します！！！！！とりあえず神作をありがとうございます:( ;´ཫ`;):シリーズ一気読みして何度泣いたことか…感動やばいですコレ…こんなに泣いたのは久しぶりですwこれからも投稿頑張ってください！応援してます！ (2021年11月12日 13時) (レス) @page50 id: d86b6fe909 (このIDを非表示/違反報告)
次亜鉛素酸 - 一気読みを今更させていただきました。伏線やら何やらもう神ですね(語彙力)もうコメントをご覧になっていないと思いますが、素晴らしい作品をありがとうございました。 (2021年10月26日 1時) (レス) @page50 id: 1c5b1c4456 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2020年12月25日 18時
