炎天の記憶 ページ28
(カリムside)
俺はジャミルの胸ぐらを掴み上げて下から睨み付けた
こんなことするのは初めてだ
従者としてはジャミルの言う事は正しいのかもしれない
それでも俺は妹を害呼ばわりされた事がどうしても許せなかった
「あいつは俺の大事な妹なんだ…！死んでもずっと俺の家族だ！」
妹はこんなことする様な奴じゃない
あいつが優しい事は身をもって知ってる
「害だなんて言わないでくれよ、ジャミル…。あいつが聞いて悲しむような言葉はやめてくれ…」
「カリム…」
手を緩め、掴んでいた胸ぐらを放した
〔…で、話を戻すけど。ネモの正体がアジームくんの妹さんだとして、彼女はもう亡くなったんだろう？〕
「あぁ、妹はとっくの昔に死んだ。…遺体はまだ見つかってないけど…」
数年前のあの日の事を思い出す
俺の影として妹が犠牲になった、あの日の事を
〔遺体は見つかってないけど死んだって、どーゆこと？〕
「……首だ」
血の気が失せ、押し黙った俺に代わってジャミルが答えた
「7年前、カリムとその妹は誘拐犯に拐われた事があるんだ
カリムは無事に救出できたんだが妹の方は…」
言葉を濁すジャミル
「え…なんで妹さんは…？」
監督生の純粋な疑問に俺はグッと押し黙る
けどこれ以上黙秘するのはダメだ
俺は意を決して、あの日の事を話し出したのだった
それは茹だるような暑さの日
俺と妹は家をこっそり抜け出して二人で街を散策していた
家の者は誰も居ない。二人だけの自由な時間に俺たちはそれはもうはしゃいでいた
「ほら、これ巻いとけって。お前は綺麗だからな、変な虫が付いたら兄ちゃんが悲しい」
そう言って俺は露店で買った顔全体を覆うベールを妹の頭から掛けてやった
あいつは嬉しそうにそれを受け取って感謝を述べた
だけど、まさかこのベールが俺たちの運命を別つとは
その時の俺には知る由もなかった
裏道を通っている時だった
「大人しくしろ」
人気の少ない薄暗いそこで、俺たちは見知らぬ男達から首にナイフを突きつけられていた
「こいつがアジーム家の嫡男……へっへっ、これで俺たち大金持ちだ！」
「こっちのベール巻いた奴は従者か？はっ、こんなチビに護衛を任せたのが間違いだったな！！」
薄汚く男達が笑う
身代金目当ての誘拐だというのは直ぐにわかった
「おネンネしてな」
頭に衝撃が走る
俺は目の前が真っ暗になった
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くらげ - コメント失礼します！2シリーズ続いて読みました。なんか伏線とか伏線回収とか綺麗すぎて五芳星とか厄災とかもうほんとにすごかったです！次回作が作られたら速攻で見ます！これからも頑張ってください！！ (12月3日 10時) (
レス) @page50 id: 09404ca91f (このIDを非表示/違反報告)
サカ - 初コメ失礼します！全部一気読みしてしまいました。すごく素敵な物語だと思います!!!!今まで読んだ中で1番好きです (2023年1月22日 22時) (レス) @page50 id: 0270587d36 (このIDを非表示/違反報告)
やぎ - 初コメ失礼します！！この前の小説も今回もとても素敵なお話でした！初めて夢小説で泣きました(T ^ T)これからも更新頑張ってください！ (2022年9月25日 12時) (レス) @page50 id: c3ead30411 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫(プロフ) - 初コメ失礼します！！！！！とりあえず神作をありがとうございます:( ;´ཫ`;):シリーズ一気読みして何度泣いたことか…感動やばいですコレ…こんなに泣いたのは久しぶりですwこれからも投稿頑張ってください！応援してます！ (2021年11月12日 13時) (レス) @page50 id: d86b6fe909 (このIDを非表示/違反報告)
次亜鉛素酸 - 一気読みを今更させていただきました。伏線やら何やらもう神ですね(語彙力)もうコメントをご覧になっていないと思いますが、素晴らしい作品をありがとうございました。 (2021年10月26日 1時) (レス) @page50 id: 1c5b1c4456 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2020年12月25日 18時
