第39の呪い ページ41
生まれながらユニーク魔法を有する人間は少ないそうだ
多くの魔法士が成長の過程で身に付けて行く中で、私は物心ついたときには既にユニーク魔法が扱えていた
……それは、どうしてかな
『人生には三つの坂があります
上り坂、下り坂、そして"まさか"です』
「……なぁに、アズールの受け売り？」
『残念、テレビ』
今が私にとってもアズールにとっても、そして双子にとっても"まさか"の時
昨日まで元気だった人が急にこんなことになるなんて、誰が考えただろう
『でもね、突然の事のように見えるだけで…きっと最初からこうなるって決まってた』
今日この日、この時間にアズールが事故に遭うのも
生死の境を彷徨う事になるのも
生まれた時からそれがアズールの運命だった
私たちが視認出来ないだけで、最初からそうなる運命だっただけ
「……何が言いたいんです」
ジェイドが私の肩に顔を埋めて低い声で問う
『きっと私が魔法を持って産まれたのは、今日この日の為だよ』
"まさか"という今日この日
突然死の淵に立たされたアズールを救う為に、私は力を持って産まれた
彼が事故に遭うのが運命だったなら、私と彼が出会ったのも運命だった
私がこんな魔法を持って生まれたのは彼と出会い、彼を救う運命にあったから
なんて素敵な巡り合わせ
だから
『私を止めないで』
酷なことを言ってる自覚はある
でも止めないで
愛する人を救えるという僥倖な巡り合わせを止めないで
「……なんでどっちかしか選べねぇんだよ…」
フロイドが私にしがみつき呻く
『何かを選ぶ時、私達は同時に何かを捨てなきゃいけないのよ』
全てを手に入れられるのはおとぎ話の中だけ
私は足も声も愛する人も全て手に入れた人魚姫とは違う
私は命を手放し、双子は私を手放す
「ど、うして……どうして大人しく幸せでいてくれないんですか…貴方も、アズールも…」
肩に温かいものが落ちる音がする
啜り泣く声がする
双子が私のために泣いてくれている
『…ありがとう』
私の素敵なお友達
イタズラ好きな、ちょっぴり困ったウツボの双子
『またいつか出会えたら、私とお友達になってくれる？』
いつかっていつだよ、とフロイドが小さく笑う
それでも深く頷いてくれた
ジェイドも
「貴方の言葉は絶対ですから、従う他ありませんね」
最後に二人を強く抱き締めた
お別れの時だ
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瑠璃(プロフ) - 軽い気持ちで、寝る前に読んでたら泣きすぎてヤバかったです。バットかと思ったらちゃんとその後もあって救われました。良い作品ありがとうございました！ (2月1日 1時) (
レス) id: 7cf0957e0e (このIDを非表示/違反報告)
だいふく - 久しぶりに感動しました！期末テスト明けだったのでめっっちゃメンタルが回復しました！ありがとうございました！ (9月6日 23時) (レス) @page50 id: 9426ee414d (このIDを非表示/違反報告)
ふふ - 全私が泣いたッッッ!!!もう1リットルくらい涙流した…。もうお゛しあ゛わぜにッッッ!!!!! (6月11日 9時) (レス) @page50 id: bc020e7b09 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - 泣いた。好きいいいいいい ハピエンで終わらせてくれないところがさあああああ (2022年10月29日 23時) (レス) @page50 id: 546cca6b35 (このIDを非表示/違反報告)
春の夜 - ほんと好きです(ごいりょくそうしつ) 貴方様の美しい地獄にはいつも胸を刺されます。 (2022年9月4日 18時) (レス) @page49 id: fac8821556 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2020年11月13日 18時
