【ツイステ】親愛なるタコに呪いを贈る

第27の呪い ページ28

(監督生side)




私がこの捻れた世界に来てもう数年経つ


帰る方法は未だに見つかってないけれど、それなりに楽しい毎日を過ごせているし、此方で育んだたくさんの人達との縁を簡単に切り捨てられる程私は薄情でもない



私が過ごすのは主に学園の中だけ

お世話になった人達が卒業していく姿は後輩としても寂しい


特に、同じ女の子として沢山私を可愛がってくれたA先輩の卒業式となれば、涙なくして語れない





今日は、A先輩達の代の卒業式の日だった









「ううっ、ふっ、ぅっ」


『あら！ユウちゃん泣いているの？

可愛いお顔が台無しよ？』


「Aじぇんぱあ"ぃ！！」


『ま！♡』


「こらそこ気軽にイチャつかない！Aは僕のですよ！！」


『まぁ！！♡♡』




式典服に身を包んだA先輩の胸に飛び込んでわんわんと泣き喚く

すると同じく卒業生のアズール先輩がギャンギャンと私に突っかかってきた





「いいじゃないですか最後くらい。心の狭い男は嫌われますよ」

「はァっ！？」

「あはァ、言われてやんのアズール」

「確かに男の嫉妬は見苦しいと言いますしねぇ」

「やかましい！！」



そこに双子も加わり一気に騒がしくなる

A先輩はそんな様子に『みんな元気ねぇ』とにこにこしていた






「あんた達、相変わらず学園名物カップルやってんのね」

「けーくんもいるよ！ねねねっみんなで写メ撮ってマジカメにアップしようよー！」

『ヴィル！けーくん！来てくれたのね！』

「わしも居るぞ、元気そうでなにより」

「この後のプロムにも参加するからよろしくな」

「OB大集合じゃん」



過去卒業した先輩達がA先輩を中心に集まると和気藹々と話し出した


寮間で揉め事を頻発させていた彼らも、なんだかんだでプライベートは仲がいい

それとも単純にA先輩の人望か


それぞれ就職して暇じゃないだろうに、こうして時間を作って卒業式に顔を出してくれた


え？レオナ先輩？
あの人は万年留年だし…




「拙者はアズール氏に撮影依頼されて…うっ陽キャこわ」

『イデア！また会えて嬉しいわ！タブレットだけど』

「ふふ、報酬は弾みますよイデアさん」



各々が好き勝手にしているこの感じ、懐かしいなぁ

そして同時に寂しくなる


今年もまた、大好きな彼らがこの学園から去っていくのだから




「(でも最後は笑顔で見送ろう)」


抱き着く力を強める

ふふ、と笑って彼女は私を優しく抱き締め返したのだった

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