第20の呪い ページ21
※流血注意
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その日は、二人で少し離れた海域まで買い物に行く予定だった
「A、ごめん……僕がグズでノロマだからこんな、こんなゆっくり…」
『もう何度言えば分かるの？ 私はアズールとゆったり海を泳ぐのも大好きなんだよ』
吸盤の多く付いた足ではノロノロとしか広い海を泳げず、本来ならそこまで時間のかからない場所ですら一苦労した
ノロマな僕に呆れ、遊んでくれる友達なんていなかった
こうして休日に買い物に出かけるような友達も
『タコちゃん疲れたら言ってね、私がおぶってあげるから！』
「い、いいですよそんなの！！」
グズな僕に飽きもせず隣に居てくれるのは彼女だけ
Aに出会って僕の世界は一変した
「お、おい君たち！今すぐここから離れるんだ！！」
「え……？」
疲れて休憩していた時
突然僕達の前に大人の人魚が現れて矢継ぎ早に言葉を発した
僕達が要領を得ずに目をぱちぱちさせていると、その人魚は焦燥を滲ませて怒鳴ったのだった
「サメだよ！！近くまで人喰いサメが来てるんだ！速く逃げなさい！！」
そう言って人魚は一目散に逃げて行った
僕は死を覚悟した
サメ
海の獰猛で危険な生物
会えば食い殺されてしまう
『大変ッ……！アズール逃げよう！』
普段色んな魚に愛されている彼女も、鮫は対象外だったようだ
逃げようとグイグイと僕の腕を引っ張る
「ま、待って、……こわくて、足が動かないよお……ッ！」
今思い出しても反吐が出る
何が「怖い」だ。その意気地の無さが彼女を危険に晒したんだぞ
『私に掴まって！
大丈夫よ、きっとちゃんと生きて帰れるわ！』
細い腕で僕の重い身体を助け起こし、安心させるように彼女は笑った
怖いのは彼女も同じ
早く逃げ出したいだろうに
生存の危機だというのに彼女は僕を捨て置こうなんて考え微塵も抱いてないようだった
『ッッ！？ アズール危ない！！！』
「えっ？」
ようやく固まった体が動き出そうとした時だった
『ッああ"っ……』
「A……ッ！？」
ノロマな僕を庇って、Aがサメの牙から僕を守ったのだ
「Aっ、なんでッ」
右腕の肘から下を持っていかれ赤いものが冷たい海に広がる
「にげるよ、アズール…」
今度こそAが僕の手を取って岩陰に隠れる
僕の、忘れたくても忘れられない忌まわしい記憶だ
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瑠璃(プロフ) - 軽い気持ちで、寝る前に読んでたら泣きすぎてヤバかったです。バットかと思ったらちゃんとその後もあって救われました。良い作品ありがとうございました！ (2月1日 1時) (
レス) id: 7cf0957e0e (このIDを非表示/違反報告)
だいふく - 久しぶりに感動しました！期末テスト明けだったのでめっっちゃメンタルが回復しました！ありがとうございました！ (9月6日 23時) (レス) @page50 id: 9426ee414d (このIDを非表示/違反報告)
ふふ - 全私が泣いたッッッ!!!もう1リットルくらい涙流した…。もうお゛しあ゛わぜにッッッ!!!!! (6月11日 9時) (レス) @page50 id: bc020e7b09 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - 泣いた。好きいいいいいい ハピエンで終わらせてくれないところがさあああああ (2022年10月29日 23時) (レス) @page50 id: 546cca6b35 (このIDを非表示/違反報告)
春の夜 - ほんと好きです(ごいりょくそうしつ) 貴方様の美しい地獄にはいつも胸を刺されます。 (2022年9月4日 18時) (レス) @page49 id: fac8821556 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2020年11月13日 18時
