第18の呪い ページ19
(監督生side)
『アズール、止まれ』
A先輩がそう言った途端、全速力でこちらに向かって来ていた触手が一斉に動きを止めた
「…先輩?」
私を攻撃から庇うように抱き締めている先輩の顔を下から見上げる
『…………ユウちゃん、私だけの魔法を教えてあげる』
いつもとは違う笑み
柔らかくも、どこか寂しさを思わせる微笑み
先輩が、一気に遠い存在になったかのよう
「Aッ」
私達がこうしている間もアズール先輩はA先輩の言い付け通り一歩も動くことはなかった
周りも異変に気付いてマジカルペンを下ろす
『いつからかなぁ…
私、物心ついた時にはもうユニーク魔法が使えたの』
生まれつきかもしれないしそうじゃないかもしれない
先輩は言葉を続ける
『私の言ったことは絶対。何がなんでも叶っちゃうの
温かいものが飲みたいなって呟けば、伝えてないのにお父さんがココアを入れてくれたし
宿題なんて無くなればいいのにって言ったら、本当に数ヶ月な〜んにも課題がなくて驚いたっけ』
言ったことが全て叶う夢のような魔法
だけど、この世界に来て散々言われた
" 完全無欠のユニーク魔法なんて存在しない "と
『ある日、" 近所に美味しいレストランができたらいいのに "って呟いたの
それはもう全身全霊、心を込めてね
そしたらびっくり!次の日にはとっても素敵なレストランが隣でオープンしたんだ』
アズール先輩の眉がピクリと動いた
ウツボの二人も驚いたように口を開けている
『私、とってもとっても嬉しくて
早速レストランに行こうと思ってたの
……でも、出来なかった』
懐かしむ様に目を伏せて笑う先輩
若干、顔が青ざめ額に汗が滲んでいる
『願い事が大きければ大きい程、代償もそれなりになるよね』
「Aッ、ユニーク魔法を解いてください!!」
アズール先輩が焦ったようにA先輩を呼ぶ
『願い事をした次の日、私は急にぱったりと倒れちゃってね
だからアズールのお家には行けなかったな』
アズール先輩は最早ボロボロと涙を零している
顔をしわくちゃにして「もう動かないからッ、魔法を止めてください!」と泣いていた
『私のユニーク魔法は、言ったことが全て叶う魔法
でもそれは、魔力じゃなくて私の"命"を燃料に発動する』
「…先輩、それって」
今、この瞬間にも
A先輩の寿命は縮まっていっている
890人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠璃(プロフ) - 軽い気持ちで、寝る前に読んでたら泣きすぎてヤバかったです。バットかと思ったらちゃんとその後もあって救われました。良い作品ありがとうございました! (2月1日 1時) (レス) id: 7cf0957e0e (このIDを非表示/違反報告)
だいふく - 久しぶりに感動しました!期末テスト明けだったのでめっっちゃメンタルが回復しました!ありがとうございました! (9月6日 23時) (レス) @page50 id: 9426ee414d (このIDを非表示/違反報告)
ふふ - 全私が泣いたッッッ!!!もう1リットルくらい涙流した…。もうお゛しあ゛わぜにッッッ!!!!! (6月11日 9時) (レス) @page50 id: bc020e7b09 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - 泣いた。好きいいいいいい ハピエンで終わらせてくれないところがさあああああ (2022年10月29日 23時) (レス) @page50 id: 546cca6b35 (このIDを非表示/違反報告)
春の夜 - ほんと好きです(ごいりょくそうしつ) 貴方様の美しい地獄にはいつも胸を刺されます。 (2022年9月4日 18時) (レス) @page49 id: fac8821556 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ニノココ | 作成日時:2020年11月13日 18時