第325夜 ページ42
今日も授業をサボってふらふら城を練り歩く
やることも見い出せず、ただぼんやりと廊下の石椅子に腰掛けて杖を弄んでいた
『そういえばさぁ…』
人っ子一人いない廊下に僕の声が静かに響く
『ちゃんと見通せた試しはないし、これはただの勘なんだけどさ』
左手に持ち替えた白く輝く大きな杖
その天辺には蒼玉がきらきらと煌めいている
こいつは主人がどうこうなろうと、いつもと変わらない輝きを放っていた
『
傍から見たら僕はおかしな奴だ
口を持たない無機物に話し掛けるなんて、とうとうイカれたかと心配されるかもしれない
しかし長年ずっと一緒にいたからこそ芽生えた違和感を僕は聞かずにはいられなかった
『杖が持ち主を選ぶのは一般的な杖にも当てはまることだけど、君の場合好き嫌い激しすぎるよね』
杖との相性というのはよく語られることだ
けれど、合わないからといって持ち主に牙を剥く杖などレウケー以外に聞いたことがない
認めた人間以外触れることすら許さない杖なんて、世界中探してもこいつだけだ
『杖本来が含有している魔力量も他とは桁違い。杖が持ち得るはずの魔力量を限界突破している』
物言わぬ杖を見上げて続けた
『
なんか君って、まるで_＿＿＿＿……』
言葉を紡ごうとした、瞬間
けれどその言葉は、急に集まりだした慌ただしい人混みの中に溶けて紛れていった
『(授業が終わったのか…？それにしても騒々しいな…)』
いつも以上に落ち着かない周囲に首を傾げる
人とぶつかりそうになり、僕は慌てて自分の中に杖を無理やり押し込んで仕舞った
当たると最悪死ぬ(相手が)かもしれないのだから仕方がない
杖も仕方がないといったように渋々と、けれどいつもより素直に僕の中に吸い込まれていった
『(やっぱりこいつ……)』
「A！」
眉を寄せた瞬間
後ろから腕を引かれてよろけた僕の身体を、がっしりと大きな手が支えた
『セドリック…？』
「あ、ごめん。急に腕掴んで…」
優しい声で謝る彼に僕はゆるゆると首を横に振る
『それはいいよ。……ところでこれは何の騒ぎ？』
「あぁ、実は…」
グッと顔を顰めたセドリック
その様子に僕はろくな事じゃないなと当たりをつけた
「トレローニー先生だ。…それからドローレス･アンブリッジ」
ほら、ろくな事じゃない
僕はスウッと静かに目を細めた
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雪乃 - 面白すぎて一気に読んでしまいました…！！話の展開にとてもワクワクしてます！！更新応援してます！ (2021年12月17日 0時) (
レス) id: c79f44231f (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - アロンさん» ありがとうございます…(T_T) 更新頑張ります！！ (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - 卵のたまごさん» ありがとおぉおおおぉおお！！！！ (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
アロン(プロフ) - めちゃくちゃおもしろいです！！更新待ってます！頑張ってください！ (2021年12月12日 19時) (レス) id: ed0e3e5242 (このIDを非表示/違反報告)
卵のたまご(プロフ) - 好きだぁぁぁぁぁぁぁ…！！！ (2021年12月7日 22時) (レス) id: d5144cc3f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2021年9月12日 16時
