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第323夜 ページ40

(セドリックside)



それは退屈で有名なビンズ先生の授業の後の事だった


「A…?」

授業後の息抜きに中庭に足を伸ばすと、なんとそこにぼんやりと空を見上げる白髪の少年の姿があった

手には何か紙らしきものを握っている



この間の件のせいか、彼に無闇に近付く輩は格段に減っていた

今もAを遠くから見つめる視線は数あれど、わざわざ近付く生徒はいない

それを僕は複雑な思いで受け止めた



「A、どうしたんだこんな所で…」

『……』


彼がこうして太陽の下にいることに不信感が募り、僕は思わず声をかけた

けれどAは無反応なまま



授業を終えた生徒が徐々に集まり始めた


またこの間のようなことが起きる前にここを離れよう

そう、彼の手を掴もうとした時だった




『犬が、いたんだ』

「……え?」


不意に、Aがぼんやりした声で言った



黒い犬がいたんだ

そう、上の空でまた続ける


『前にも確か、こんなことが……。でもまたあの時みたいにすぐに消えて…亡霊のようだった…』


ブツブツと零すAはどこか狂気じみている


ふと、その手に握られた紙が目に入った

僕は上からなんとなしに覗き込む







"二度目の警告


それ以上禁忌を犯すというのなら、この手でお前を殺…"



しかし最後まで読み切る前にAが手に力を込めてぐしゃりと紙を握り潰した

僕はビクッと肩を揺らし彼の顔を恐る恐る見やる



『…悪趣味だよね、まったく』


それは手紙の差出人に言っているのか、それとも僕に言っているのか

澱んた瞳からは察することは叶わなかった



「その手紙、一体誰から…」

『……さぁ。分かったら苦労してないよ』


はぐらかしているのではなく、本当に差出人に見当がつかないような声音だった

Aが辟易したように息をつくと、ポケットに雑に手紙を押し込んだ



『それ新聞?ちょっと見せて』

「え、あ、あぁ…」


僕が小脇に抱えた勉強道具の中から日刊予言者新聞をAが目敏く見つけた

それを手渡してやるとサッ速い動きで青い瞳が文字を追う


「何か気になることでもあったのか?」

『いや、特に…』


そう呟いたAがふと視線を止めた




『魔法省…』


記事はアンブリッジを初代高等尋問官に任命するというものだった

胸糞悪い記事だ

しかしAが気にしているのは別のところにあるようだった



『神秘部のアレもどうにかしないとな…』

彼の言葉は最後まで何一つ僕には理解できなかった

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作品ジャンル:ファンタジー
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雪乃 - 面白すぎて一気に読んでしまいました…!!話の展開にとてもワクワクしてます!!更新応援してます! (2021年12月17日 0時) (レス) id: c79f44231f (このIDを非表示/違反報告)
ニノココ(プロフ) - アロンさん» ありがとうございます…(T_T) 更新頑張ります!! (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
ニノココ(プロフ) - 卵のたまごさん» ありがとおぉおおおぉおお!!!! (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
アロン(プロフ) - めちゃくちゃおもしろいです!!更新待ってます!頑張ってください! (2021年12月12日 19時) (レス) id: ed0e3e5242 (このIDを非表示/違反報告)
卵のたまご(プロフ) - 好きだぁぁぁぁぁぁぁ…!!! (2021年12月7日 22時) (レス) id: d5144cc3f8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ニノココ | 作成日時:2021年9月12日 16時

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