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第317夜 ページ34

(ハリーside)



今年は最初から色々なことが起こりすぎだ

周りの攻撃的な視線、迫るOWLへの準備、そして魔法省の差し金アンブリッジ


新学期前も吸魂鬼やら尋問やらで大変だったのに



僕はイライラしながら息をつく

組み分けの日、Aが場を荒らしてくれたおかげか、表立って僕らを嘘つき呼ばわりする人は減ったけど


皆彼の圧に圧倒されていた

あの重苦しいオーラは、三年生の時に学校に現れた彼の父親を彷彿とさせた

血の繋がりを感じる



そのAだが、新学期が始まっても暫くは学校で見かけることはなかった


授業はもちろん出ない

それどころかフラフラと学校を彷徨いている姿も、サボって呑気にお茶をしている姿すら見かけなかった


自由を象徴する彼がいない

まるで伸び伸びとした日常がホグワーツから消え去ったことを暗示しているようだ



「ね、中庭にAがいるらしいよ…!」

「えっうそ! 見に行こ!!」

だから久しぶりに彼の名前を聞いて驚いた


ロンやハーマイオニーと顔を合わせると、僕らは誰からともなく中庭へと足を向ける


彼が誰かを傷つけないか心配だった

自然と歩くスピードが速くなる








「ねぇこれも貰って!」

「A寝不足ぅ?膝貸してあげよっか?」

「きゃあっいい匂い〜!」

「手冷たぁい!私があっためてあげるね」


中庭に着くとそれはそれは珍しい光景が広がっていた



『……あぁ、そう…』



あのAが

他人にあれこれとちょっかいを出されてもずっとされるがままだったのだ

女子生徒に好き勝手弄ばれているAを見て僕らは目が点になる



「彼、様子が変だわ…」


隣のハーマイオニーが険しい顔で言った

それに僕も無言で頷く


普段ならそもそも近付かせすらしないのに、今はその鉄壁が剥がれ落ちてしまっていた


手を握られたり、腕に抱きつかれたり

頬を無遠慮に撫でられたり、ポケットにプレゼントを突っ込まれたり


これまでの彼なら触らせすらしなかったのに

どう見てもおかしい。無防備すぎる




「もしかしたら意識が」

「朦朧としてんのかもな」


「わっ、双子!」


突然背後から声をかけられ、びっくりして肩が揺れた

文句を言おうとするも、朗らかな声の割に険しい顔をした二人に口を噤む


「ほら見ろよ、目がぼんやりしてる」

「薬の副作用か、もしくは抑えてるのかもな」

「抑えてる?何を?」


ロンが首を傾げる

双子がAから目を離さず続けた






「「殺戮衝動だよ」」

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作品ジャンル:ファンタジー
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雪乃 - 面白すぎて一気に読んでしまいました…!!話の展開にとてもワクワクしてます!!更新応援してます! (2021年12月17日 0時) (レス) id: c79f44231f (このIDを非表示/違反報告)
ニノココ(プロフ) - アロンさん» ありがとうございます…(T_T) 更新頑張ります!! (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
ニノココ(プロフ) - 卵のたまごさん» ありがとおぉおおおぉおお!!!! (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
アロン(プロフ) - めちゃくちゃおもしろいです!!更新待ってます!頑張ってください! (2021年12月12日 19時) (レス) id: ed0e3e5242 (このIDを非表示/違反報告)
卵のたまご(プロフ) - 好きだぁぁぁぁぁぁぁ…!!! (2021年12月7日 22時) (レス) id: d5144cc3f8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ニノココ | 作成日時:2021年9月12日 16時

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