第285夜 ページ2
(ダンブルドアside)
ある日の暮れ
「校長先生ッ!校長先生はいらっしゃいますか!!」
夏季休暇に伴い、いつもの賑やかさはなりを潜めたホグワーツ城に医務室の女主人の叫び声が響いた
「ポピー、わしはここじゃよ」
校長室の奥から顔を出し、ノックも無しに慌てて入室してきたマダム・ポンフリーに声を掛ける
すると彼女はたちまち距離を詰め、わしのマントローブを引っ張り着いてくるよう促した
「Aか?」
「えぇ!聖水を飲ませようとしたのですが、暴れていて手も付けられないんです!」
話によると、ミネルバやセブルスらが取り押さえようとしても断固として拒否して手に負えないとのことだった
「このままじゃ城が崩壊してしまいます!」
悲鳴のような叫びを最後に、わしはポピーを置いてAの隔離部屋へと姿くらましした
.
.
.
.
.
『近寄るなッ!!!』
空気を震わす怒声
それと同時に砕け散る窓ガラスや備え付けの家具たち
わしが部屋に着いた頃には本来の状態の面影などなく、足の踏み場もないほどに部屋は荒れ果てていた
「ヘルエレガルッ落ち着きなさい!!」
『五月蝿うるさいうるさいうるさいッ!!』
ミネルバの言葉にも耳を貸さず、Aはただ頭を抱えてベッドの上に蹲っている
その足元からはユラユラと仄暗い霧のような魔力が時折火花を撒き散らしながら揺らめいていた
「校長」
「…致し方あるまい」
セブルスが頬に傷を拵えてわしに対応を促した
それに神妙に頷き、杖をとる
「A」
『……』
頭から自身の二の腕に手を移したAは己の肌に容赦なく爪を立て、そこからじんわりととめどなく血を溢れさせた
___理性と闘っている、今のうちに
「
『ッ…』
石化の呪文により体勢を崩したAの体がシーツに沈む
それを見計らってミネルバ達が駆け寄り、Aの四肢をベッドに括りつけ拘束した
『う…』
ジャラ…とAが身動ぐ度に拘束具が重苦しい音を立てる
暴れて周り、それから自分自身を傷付けないためと言えど、まるで囚人のようなその扱いにわしは胸を痛めた
…痛めるだけで、拘束を緩めようとは思わぬが
「この調子で騎士団でも大丈夫なのでしょうか…」
嫌々聖水を流し込むAを遠目にミネルバがため息をつく
…Aの騎士団への移送が明日に迫っていた
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雪乃 - 面白すぎて一気に読んでしまいました…!!話の展開にとてもワクワクしてます!!更新応援してます! (2021年12月17日 0時) (レス) id: c79f44231f (このIDを非表示/違反報告)
ニノココ(プロフ) - アロンさん» ありがとうございます…(T_T) 更新頑張ります!! (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
ニノココ(プロフ) - 卵のたまごさん» ありがとおぉおおおぉおお!!!! (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
アロン(プロフ) - めちゃくちゃおもしろいです!!更新待ってます!頑張ってください! (2021年12月12日 19時) (レス) id: ed0e3e5242 (このIDを非表示/違反報告)
卵のたまご(プロフ) - 好きだぁぁぁぁぁぁぁ…!!! (2021年12月7日 22時) (レス) id: d5144cc3f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ニノココ | 作成日時:2021年9月12日 16時