第312夜 ページ29
(セドリックside)
「＿＿＿A、着いたよ。起きて」
『んん…』
学校の最寄り駅に着くと僕は肩を揺らして眠るAを起こした
『ふぁ…』
欠伸をして伸びをした彼は、しばらくの間ボーッと窓の外を見つめる
その間に僕は荷物をまとめた
席に置かれた分厚い本を一冊一冊鞄に入れていく
N.E.W.T試験(めちゃくちゃ疲れる魔法テスト)に向けて勉強していたのだ
『
いつの間にか窓の外から視線を移したAが僕の手にある参考書を見て呟いた
「いい成績取らなくちゃいけないから」
『ふーん…』
もう興味が逸れたのか曖昧な返事しか返してくれない
Aはいつか見たマグルのサッカー選手のように床に転がる杖を器用に足で持ち上げた
「あっ、ちょ、待って…！」
まだ準備の終わってない僕なんて気にもせずAはさっさとコンパートメントを出ていく
僕は雑に本を鞄に突っ込むと急いで彼の後を追った
まるでモーセの如く、割れていく人垣の中を二人で進むのであった
「あ…」
『……』
城へと向かう道中
ばったりと出くわしたのは、プラチナブロンドの青年＿＿＿ドラコ・マルフォイだ
「あ…A…」
『……』
あたふたとし始めたマルフォイ
それに対しAは薄く笑って『……こんばんは、ドラコ』と返した
「あ、その、君に言いたいことが…」
いつもはあんなに傲慢な態度のマルフォイも、Aの前ではただの気弱な男だった
それはAのカリスマが成す技とも言えるが、今回は違う
「僕は、…僕が君に贈ったのは…」
『……』
「知らなかったんだ…！本当だ、僕は本当に、君にはブラックダイヤを…ッ」
最早泣きそうになっているマルフォイが哀れで手助けしようかと迷っていると、徐ろにAが口を開くのであった
『君のせいだ』
ハッと息を飲んだ
優しいAならば『君は悪くない』なんて言って慰める
そう考えていた僕は真逆の台詞に思わず目を見開いた
マルフォイはより青ざめ、カタカタと歯を鳴らし、瞳には涙の膜が張った
緊張に張り詰める空気
どう収集しようか混乱していると、突然『ふ、』と小さく息を漏らす音が鼓膜を揺らした
『ふ、ふふ……冗談だよ。君は悪くない、ドラコ』
目を細め笑うA
そして未だ青ざめる青年の肩を軽く叩くと、Aはそれ以上の言葉を掛けず行ってしまう
「…」
後には震え俯く青年だけが残った
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雪乃 - 面白すぎて一気に読んでしまいました…！！話の展開にとてもワクワクしてます！！更新応援してます！ (2021年12月17日 0時) (
レス) id: c79f44231f (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - アロンさん» ありがとうございます…(T_T) 更新頑張ります！！ (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - 卵のたまごさん» ありがとおぉおおおぉおお！！！！ (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
アロン(プロフ) - めちゃくちゃおもしろいです！！更新待ってます！頑張ってください！ (2021年12月12日 19時) (レス) id: ed0e3e5242 (このIDを非表示/違反報告)
卵のたまご(プロフ) - 好きだぁぁぁぁぁぁぁ…！！！ (2021年12月7日 22時) (レス) id: d5144cc3f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2021年9月12日 16時
